第15話 色々な事が分かってきた!

ルーは「確認してみるから」とだけ言い、ヒューゴと解体作業を変わる為、戻っていった。確認してみるとはどういう事だろう。


それから数日たち・・・


訓練の際、ルーとヒューゴがこっそりと何かを話していた。んっ何だ?と思ったが、その日の夜に同室のヒューゴから、紙の様なメモを渡され「気づかれない様に読め」と小さな声で告げられた。牢屋は常に暗く、窓からの光ぐらいしか入らない。夜に至っては、暗闇だ。

壁の方を向いて、こっそりメモを開けると、不思議な事が起こった。暗闇なのに文字が読める。でも光っている様ではない。・・・特殊なインクなのか?

書いてある内容を読む。


【メモ】「ルーだ。この前、わたるが言っていた内容を確認した。シュヒールヒ=ラナールはお前の母で間違いない様だ。また、本人も会いたがっているとの事だ。正直、わたるは、ラナールに似ているので、名前が出た時、何故かすんなり「そうかもな」と思った。だから、確認を急いだ。

いつ頃になるかは分からないが、このシュミール国第二の都市ソローで奴隷解放が行われるだろう。わたるが居る事が分かったので、その予定も早まるらしい。

また、今後は、護衛対象者として、ヒューゴ以外にもわたるのそばに誰か付き、安全を確保する様になる。宜しく頼む。

ちなみに他の者には、絶対この事を話さない様に。奴隷解放が失敗する可能性が出てくる。


なお、このメモは、食べられるので、読み終わったら、口に入れる様に。」


メモを読んで顔をあげると、ヒューゴが「宜しくな」と小さな声で言う。なるほど、恐らく、ヒューゴとルーは母ちゃん側の様だ。メモを口に入れるとすぐに溶けた。わたがしを口に入れた感覚だ。甘くないけど。


それにしても・・・スパイ映画みたいだな!


次の日から、ヒューゴ以外にも、ルーや他の種族数人も自分の事を見てくれている事を感じる。実際、魔獣討伐時にも助けてくれた。ありがたい。ただ、真司しんじに伝えられない秘密が出来てしまったな。


その後もヒューゴ経由で、ルーからの手紙は続き、いくつか分かった事があった。


・ソローの奴隷解放の為、活動家軍と他種族連合軍が多数、潜入し始めたそうだ。

・亡くなった柿沼かきぬまさんも活動家軍の一員だったそうだ。ちなみにヒューゴやルーは他種族連合軍との事。

・第二都市のソローで作戦を行う為、大規模となり慎重を要する。なので、改めてこの事は誰にも漏らさないで欲しいとの事。

・魔法に関して、一度きりの制限なので、次に使用すると発動の危険あり。身柄を確保される可能性がある為、興味本位でも使わない様に。


メモから、亡くなった柿沼かきぬまさんの事も書いてあり、分かった事があった。彼は、収監されていた時、奴隷解放が行われ、その時に脱出できたそうだ。その後、活動家軍に入り、活動を行う。また、日本人という特色を生かし、施設に潜入員として入ってきたとの事。ただ、奴隷解放の脱出の際、右足にダメージを追い、その理由もあって、魔獣の攻撃を避けられなかったそうだ。ルーの文面でも、惜しい人間が亡くなったという様子だった。確かに思い出すと、時より足を引きずっている様子はあった。


柿沼かきぬまさん・・・そんな状態になっても「皆を助けたい」という思い、自分が引き継ぎたいと思っております。


尊敬できる男の背中を見た感じだった。

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