3.宿題は井戸工房で
第63話
社会科見学が終わり、あたしたちは、集まれる日は井戸工房に集まって社会科見学のレポートを書くことにした。
みんなであれこれ話しながら宿題をやるのは楽しかった。
「レポートってさ、イラスト入れてもいいんだよね!」
ここみちゃんがきれいにイラストを描きながら言った。
「ああ、もう、絵が描けるやつが有利だろ、こんなん!」
とコタくんが叫んで、みんな笑った。
「僕は写真にして持って来たから、それを貼るんだよ」
「あ! ずるっ! ひびきっ」
「コタくん、あたし、絵、描いてあげようか?」
「うう。それはなんか間違っている気がする」
「虎太朗、使わなかった僕の写真、使う?」
「使う使うー!」
「あ、それはいいんだ」
またみんなで笑う。
「それにしても、ここみちゃんのレポート、きれいだねえ」
あたしが言うと、「ほんと、同じところ行ったとは思えないね」とひびきくんが言った。
「虎太朗の、見てみなよ!」
「あー!」
確かにコタくんのレポートは字も汚いし、消しゴムもきれいにかけられていないし、色分けもなくて、確かにここみちゃんのと比べるとへたくそだった。
「いいんだよ、おれはこういうの、苦手なんだよっ」
「ふふふふ。そうだね、コタくんは昔からこういうの、苦手だよね」
「そうだよっ」
「でもさ、みんなとやると楽しいよね?」
「お、おう!」
あたしたちは分からないところとかを訊き合いながら、レポートを仕上げていった。
「もうちょっとで出来るね」
「ここみちゃんのおかげだね!」
「えへへ。ありがとう」
すると、そこにくろがぴょんと上って来て言った。
「あーん、つまんないつまんないー!」
「くろ! だめだよ、邪魔しちゃ」
「だって、みんないるのに、遊んでもらえないー‼ つまんないつまんないっ!」
「じゃあさ、お茶にする?」
「わーい、お茶お茶―! おやつおやつー!」
「ちょっと待て! あとちょっとで出来上がるから、ちょっとだけ待って! 出来上がってから休憩したい!」
コタくんがそう言ったので、「え~」っていうくろをおいておいて、まずは宿題を仕上げることにした。
くろはしっぽをぱたぱたさせながら、あたしたちが宿題を仕上げるのを待っていてくれた。
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