3.豪華絢爛な舞踏会
第47話
「ねえ、じゃあ、みんなで踊ろう? ぼくもいっしょに踊りたい!」
明るいくろの声がして、あたしたちはくろもいっしょに、もう一回ダンスを踊った。
さっきよりもうまく踊れた気がした。
音楽が終ったとき、拍手がして振り返ると大魔女ルチルがいて、「上手だったぞ!」と言った。
「魔女先生!」
あたしはルチルのところに駆け寄った。
「しずく、毎日練習をして、さらに魔女修業して。――毎日、よく頑張ったな」
「魔女先生……!」
今日はどういう日だろう?
みんなに褒められる日!
「しずく姫と虎太朗くんたちにご褒美をあげたいね」
アレク王子が言って、ルチルも「そうだな」と言った。
「みんな、ダンスが上手に踊れるようになったことだし、ドレスを着て舞踏会をしたらどうだろう?」
ルチルの言葉に「いいね」とアレク王子が応えた。
「ドレス⁉」
ここみちゃんが嬉しそうに言った。
「げ」と言ったのはコタくんで、「えええ?」と言ったのはひびきくん。
ルチルはにっこり笑うと、呪文を唱えた。
すると、あたしとここみちゃんはお姫さまのような、ふわっとしたレースたっぷりのドレス姿になった。
ここみちゃんはやさしい黄色のドレスで、あたしは薄いピンク色のドレスだった。
リボンやビーズがふんだんに使われていて、あたしたちは「かわいい!」と言い合った。髪型もドレスに合わせて結われていて、髪にもドレスやきらきらしたものが飾られていて、ほんとうにお姫さまになった気持ちになった。
「しずくちゃん、わたし、嬉しい! お姫さまになってる‼ しずくちゃん、すごくかわいい!」
「ここみちゃんもかわいいよ。すごく似合ってる!」
あたしたちはくるくる回って、ドレスがふわって広がるのを楽しんだりした。
「コタくん、見て見て!」
「あ、ああ、しずく、かわいいね」
「コタくんもかっこいいよ!」
コタくんもひびきくんも、王子さまみたいなかっこうになっていた。
二人ともすごくよく似合っていて、かっこよかった!
「……恥ずかしいんだけど?」
「ううん、すごく似合ってる!」
「そ、そう?」
「うん!」
コタくんと話していると、くろが来て、「見て見てー! ボクはこんな感じー」と衣装を見せに来た。くろの衣装は、胸のところにフリルがたっぷりついた、華やかな衣装だった。
「きゃー、くろもかわいいね!」
「えへへ。似合う?」
「似合う、似合う!」
くろは嬉しそうに飛び跳ねた。
そんなみんなの様子を見ていた、アレク王子が指をぱちんとならした。すると、音楽も始まった。
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