2.遠足にくろがついてきた!
第13話
遠足はバスで、少し遠いところにある広い公園に行く。その公園は森もあって広い原っぱもあって、遊具がある場所もあって、正式名称ではなくみんなただ「里山公園」って呼んでいた。
バスの座席も緊張した。
グループごとに座る場所が指定されているだけで、その中で自由に座ってよかった。コタくんとひびきくんは二人並んで座るだろうし。りこちゃんやねねちゃんとは座る場所について、何の話もしていなかった。五人のグループだと、一人、他のグループといっしょに座る子が出てくる。
バスに乗り込むと、りこちゃんとねねちゃんは当然のように並んで座った。あたしが黙っていると、コタくんが「いっしょに座る?」と言うので、「ううん、だいじょうぶ! コタくんはひびきくんといっしょに座って!」と言って、あたしはあぶれた席に座った。隣に誰がくるんだろう? とどきどきしていたら、隣には誰もこなくて、ほっとした。一人お休みの人がいたみたい。
前の席の会話から、りこちゃんとねねちゃんがお菓子をいっしょに買いに行ったのが分かった。隣の席の子たちも仲良さそうにしていて、やっぱりいっしょにお菓子を買いに行ったみたいだった。
あたしはお菓子を一人で買いに行った。お父さんとお母さんは仕事で忙しくて、遠足のお菓子をいっしょに買いに行く時間はなかった。
周りからお弁当の話も聞こえてきた。みんな、お母さんがはりきってお弁当を作ってくれたみたいだ。あたしのお弁当は自分で作ったサンドイッチだった。サンドイッチは簡単に作れる。卵サンドとポテトサラダサンド。自分ではよく出来たなと思ったけれど、なんだかさみしくなってしまった。
そのとき、膝に抱えていたリュックがごそごそした。
なんだろう? と思って開けてみると、くろが顔を出した。
「く……」
くろ! と大きな声を出しそうになって、口を押さえた。
「くろ」
ひと息ついて言うと、くろはにっこり笑った。
「ボクがいるからね」
「ありがとう!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます