第27話 砂漠の決戦
「アアッァアァァァァアアァァアアアァァアァァーーーーーンッッッッ!」
ついに〝敵〟を見つけたレッドドラゴンは、マダラ模様の翼を広げてミユたちを威嚇し始めた。
「おいミユっ、どうすんだコレ……」
「もっ、もしかして、ミユさんの攻撃はまずかったんじゃ……」
「大丈夫よギリーちゃんっ!」
ミユは大きく息を吸うと、今度はゆっくりと吐き出した。
「フウウウウウウウウウウウウウウッーーーーーーーーーーッッッッッ」
すると、一筋の光はいつまでも消えず、ドラゴンのツノに当たり火花を散らし続けた。
〝ギッキイイィィイイイイィィィイイイィィィィンンンンッッッッ!〟
「フウウウウウウウッッッッッッ」
〝ギイイイイィィイイイイィィィィッッッッッッッッッ!〟
レッドドラゴンのツノが発熱して白く輝き始める。
「ミユっ! もう少しだ頑張れっっっ!」
「ミユさん頑張ってっっっ!」
ギリーとブランがミユの手を握った。日食が終わろうとしているのか、空が明るくなってきた。
「フウウッ……!」
〝ドドンッッッ!〟
ついにレッドドラゴンのツノは砕け、粉々に飛び散った。
弾かれた月の光は地面に突き刺ささり、深い穴を開けた。
「ギャガアッッ! ギャアアアァァッッンンン!」
「ハアッ、ハアッ……息が止まるかと思った……」
倒れたレッドドラゴンは、マダラ模様の翼で頭を覆い隠している。
「ヤッターーッッッ! ミユさんがレッドドラゴンを倒したーーーっっ!!!」
「ギリー、すまんがな……終わっとらんのだ」
ディーは慰めるようにギリーの肩に手を乗せた。
「ほれ、もう再生しとる……」
レッドドラゴンは立ち上がると、陽の光を浴びるように翼を広げた。頭部にはさっきよりも太く長い、一本の真っ黒いツノが生えている。
「お館様、只今戻りました」
「リノン、どうか」
「残念ですが、この辺りに人が通れる大きさの壁はありません。それにほとんどの瓦礫はヒビがはいっていますので、使えません」
「そうか、ご苦労。よいかミユ、〝隣の扉〟は丈夫で平らな壁でないと使えんのだ。崩れる瞬間に通ると、体も一緒にバラバラになるでな」
「それ先に言っといてよっ」
「そうだブラン! イバラを呼び出そうよ!」
ギリーが杖を光らせた。
「そうだっ! ドラゴンにはドラゴンだっ!」
「えっと、ギリーちゃん、まさかイバラって……」
「はいっ、あの時のサンダードラゴンですっ!」
ギリーは杖を空に向けると、声に魔力を込めた。
「ベニーレッ! イーバラーーーッッ!」
杖の魔石が神々しく点滅している。
「あの子って飛ぶの速いからすぐに来ますよっ、ほらっ、もうあそこにっ!」
遠くの雲が光った。
〝ゴロゴロロロッッッ!〟
雷鳴が聞こえる。
「イバラって名前を付けたのね」
「〝ミユ〟にしようか迷ったけどな」
「イバラーっ! おいでーっ!」
遠くの空に、グライダーのようなドラゴンの勇姿が見えた。
「ミユ! 助っ人が来るのねっ!」
ユリカは涙を浮かべている。
「ほう……確かにあれはサンダードラゴンだな……」
ディーが浮かない顔をしている。
「お二人のペットなんですか?」
リノンの声には力が無い。
「あの子は友達だよねーっ」
「まあ戦友みたいなもんかなー」
大きく翼を広げたサンダードラゴンが、堂々と近づいて…………翼を振り回して旋回している。
遠くの雲が光った。
〝ゴロロッッ!〟
雷鳴が聞こえた。
〝コロッ……〟
サンダードラゴンは、雲の向こうに消えてしまった。
「であろうな、レッドドラゴンが相手では逃げるしかないで、サンダーなんとかではな」
「お館様、しょせんアレは弱っちょろいトカゲです。レッドドラゴンに比べると体も小さいですし」
「ちょっとミユ何よアレっ? 根性がなさすぎるんじゃないの?!」
「昔はあんなじゃなかったのよ、ドラゴンも野生を失ったらダメねー」
「はりきって呼んだ私がバカみたいじゃないのっ、全く……情けないっ」
「女の陰口は怖いな……」
〝ピロロ~ン!〟
ブランは人生のレベルが上がった。
〔第27話 砂漠の決戦 終〕
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます