第22話 幕間~その頃のクーデルカ王国①~

【Side クーデルカ王国】


 一方その頃、【クーデルカ王国】の王城内では……?


「父上、どうされました?」

「ああ、先ほどクレスから建築ギルドを管理する我々にクレームがあってな」

「勇者セイル様のパーティーの一員だった賢者クレス様から?」

「そうだ。 彼が運営する魔法学校で建設中の寮を取りやめるという契約解除を勝手に人の名を使って行ったらしくてな」

「ええっ!?」


 クーデルカ王国国王の様子がおかしいと感じた王子が尋ねた所、どうも賢者クレスが営む魔法学校で寮建設を取りやめるという契約解除があったようで、しかも勝手に人の名前を使って行使していたという。

 それを聞いた王子は驚きの声を上げる。


「建築ギルド関連のルールは世界共通なのに……。 何故なのです?」

「それに関しては、部隊を派遣して強制調査を行っている。 定期的な進捗報告がどこからも入ってこなくなり、おかしいと思ったところだったのでな。 とはいえ、予想できる要因はひとつあるが……」

「予想できる要因?」

「うむ。 ファガーソン家という可能性がな」


 建築ギルドのルールは世界共通なのに、何故歪められたのかという王子の疑問には、国王は現在調査中という答えだった。

 だが、国王は一つだけ予想できる要因があると告げたのだ。

 それが、ミルトという少年を追放した【ファガーソン家】ではないかという事を。


「ファガーソン……。 確か生まれつきで攻撃魔法を使えない者を無能として追い出し、その者の居場所を確保させないために手段を選ばないという。 そういえば、その者の子供の一人を無能扱いにして追い出したとも聞いてます」

「そうだ。 だが、おかげで今回の件で今までの身に覚えのない契約解除があったという報告も奴が原因ではないかと思ってな。 故に各町の建築ギルドに強制調査をしているのだ」

「自分達の思うようにするために世界のルールを捻じ曲げた時点で大罪ですからね」

「うむ」


 そう。

 この国の建築ギルドの管轄は王族が担っており、進捗報告を定期的にしなければならないというルールも設けていたが、ここ最近ポツンと報告が入らなくなったようだ。

 だが、なかなか捜査に踏み切れなかったのが現状だ。

 それが今回のクレスからのクレームを機に強制捜査に踏み切れたのだ。

 何せ、世界共通の建築ギルドのルールを自分達の思うがままにするためにルールを捻じ曲げた時点で大罪なのだから。


「とはいえ、結果次第では一度建築ギルドを解体し、新たに立て直さんといかんがな」

「心中お察しします」


 それでも、強制捜査の内容次第で建築ギルドを一旦解体し、新たに作り直さないといけないという。

 王子は流石に労う事しかできなかった。


「それで、ロラン。 お前がここに来たのは私の様子を見に来たのではなかろう?」

「まぁ、こっちが本題ですね。 でも父上が窶れていましたし」

「確かに私は窶れてはいたと自覚はあるが、その原因は分かったのだからいいだろう。 して、どんな内容だ?」


 気を取り直し、国王はロラン王子に聞く。

 国王がクレスからのクレームと建築ギルドの問題によって窶れていた様子だったので、気になって報告が出来なかったが、ここでロラン王子がようやく報告をすることになったのだ。


「実は魔法学校庁の大臣から、我が国が構える魔法学校の中に半年前から定期報告をしていない学校があるという報告がありまして……」

「ほぉ、定期報告を怠る学校が出て来たとは……。 それで、ロランよ。 その学校はどこのだ?」


 ロラン王子は、国王に魔法学校庁から半年前から定期報告をしていない学校があると報告があった事を話した。

 国王がどこの学校なのかを聞いた所で、ロラン王子が件の学校名を口にしたのだ。


「【ワルジール魔法学校】なんですがね……」

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