第17話 ダンジョン内にて

「あ、スライムが……!」

「このスライム……、確か服だけを溶かす液を吐いてきますから手早く仕留めましょう」

「な、なんてスケベな……!!」

「とにかくまずは固めた方がいいわね。 【アイス】!!」

「私もいくよ。 【アイス】!!」


 ダンジョンに入ってすぐにスライムと遭遇する。

 ファナが言うには、このスライムは人を溶かさないけど服だけは溶かしにくるというとんだスケベな魔物のようだ。

 アンナさんとミーナの【アイス】という冷気の初級魔法で凍らせてもらってから、残りで物理でたたき割った。

 当然、みんなが持ってる武器は杖だ。


「このスライムが落とすのは小型の魔石ですね。 杖に取り付けられている物と同じサイズですし、よく見かけますから買取価格は安めですね」

「でも、小遣いになるから取っておくよ」

「アリスさん……お金になると必死だね」

「一応、今年分の学費は大丈夫なんだがなぁ」


 アンナさんが何か言っていたが、少しでも足しになるなら取って売りに出した方がいい。

 来年の学費を貯めて、お母さんに負担をかけさせたくはないのだから。

 ワルジールの件で、クレームなどを入れて貰ったりしてるからね。


「さて、進みましょう。 学校の敷地内にあるために、規模は小さめですからすぐに地下二階への道が見えますよ」

「確かに、少し小さめに感じるね。 試験や授業に利用するにはもってこいなんだけど」


 そう。

 このダンジョンに入ってみた時の感想は、学校の敷地内にあるダンジョンであるだけあり、小規模だったという事。

 それでも入り組んでたりしているので、油断したら迷いやすいんだけど。


「あっ」

「アリスさん?」

「来る……!」


 それでもファナの案内で地下二階への道が見えてきそうな時に、ふと気配を感じた。

 スライムではない……、これはおそらく……。


「ギヒヒヒヒッ!」

「ゴブリンか……!」

「ここ地下一階にて遭遇する魔物の中では強めの魔物ですね」

「数は……十匹ね。 道が塞がれてるし、やってしまおう」

「うん!」


 ゴブリンの出現に、ボク達は杖を構える。

 

「【ファイアボール】!!」


 最初にボクがファイアボールを放ち、牽制しようとした。


「ギニャアァァァァ!!」

「おおぅ……」


 しかし、ボクのファイアボールに直撃したゴブリンはそのまま燃えて灰になった。

 ファナやアンナ、ジャック君はそれを見て少し驚いていた。


「牽制で放ったはずのファイアボールで一気に二匹消し炭にしましたね」

「流石はアリスさんだねぇ」

「褒めてるのか貶してるのか、どっちなんだよ!?」

「まぁまぁ、アリスちゃん」


 アンナさんが特にドン引きされたまま流石だといったので、褒めてるのか貶されているのかどっちなのと突っ込んだ。

 確かにファイアボールで二匹纏めて消し炭にするのは異常なんだろうけど。


「それは置いといて、私達もやってしまいましょう!」

「そうだね!」


 無理やり話が逸らされた気がするが、ファナモアンナさんも残りのゴブリンを倒していく。

 ファナの火の初級範囲魔法【バーニング】やアンナさんの風の初級範囲魔法【ストーム】で駆逐されたゴブリンは、石斧を残して消滅した。


「この石斧は魔石よりは高く買い取れますね」

「じゃあそれも持って帰ろう。 このカバン、まだ入りそうだし」

「がめついな、流石アリスさん、がめつい」


 ファナからゴブリンが落とした石斧の買取価格を教えてもらったボクは早速石斧も回収した。

 なお、カバンはダンジョン探索用に受付から支給されたモノで、ある程度多めに入れても問題はないと言ってたかな?

 あと、ジャック君。

 さっきの発言は記憶しといたからね?


「では、地下二階に行きましょうか。 隠し部屋はそこからすぐですし」


 ボクが石斧の回収を終えたのを見たファナが引き続き先導する。

 いよいよ地下二階の隠し部屋に行く事になる。

 カエルの魔物【フロッガー】との戦いももうすぐだ。

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