第16話 放課後はダンジョンへ

 さて、今日の授業は終わり、放課後に突入する。

 エトワール魔法学校では、放課後に二人以上で行く事を条件に周囲のダンジョンに行く事を許可している。

 ボクは来年の為の学費を貯めないといけないので、今回はファナとアンナさん、ミーナとジャック君でダンジョンに向かう。


 そうそう、あの実技授業の後にファナに謝ったが、耐性魔法のおかげで何ともないのと、痛みは回復魔法で消え去ったから気にしないでいいと言われ、それ以上にボクがファイアボールを十発同時に放つ事に尊敬の眼差しを向けられたのだ。

 ミーナからは、少しだけ諫められたけどね。


「はい。 これがダンジョン探索許可証です。 これを首に掛けた状態でダンジョンに挑んで下さい」


 受付でダンジョン探索許可の手続きをし、許可証を貰う。

 これが無いと、ボク達はダンジョンに入れないのだ。


「では、皆さん、行きましょう」

「うん!」

「まぁ、今回は学校の敷地内にある南東エリアのダンジョンの真ん中付近で乱獲するだけなんだけどね」

「あそこに潜む【フロッガー】が落とす【タリスマン】はそこそこ高く買い取ってくれますから」

「なるほどね」

「じゃあ、アリスちゃんは頑張って稼がないといけないね」

「ミーナとジャック君もだよ?」

「わ、分かってるよ!」


 今日は学校の敷地内の中の南東エリアにあるダンジョンで、【フロッガー】というカエルの魔物を倒しまくって、【タリスマン】を沢山手に入れる事。

 ファナが言うには、【タリスマン】はそこそこ高く買い取ってくれるんだとか。

 もちろん、他の魔物も対応するみたいだけどね。


「はい。 ここですよ」

「まだ使われてない二年生の教室からは少し離れた場所にあるんだね」


 ファナに案内された先の目的のダンジョンは、まだ使われていない二学年用の教室練からは少し離れた場所にあった。

 オルクスの町でクレス校長が言ってた学校内にあるダンジョンの一つがこれなのだろう。


「このダンジョンは、冬の時期以降にダンジョン探索の授業でも使われます。 私達が向かうのはその中で隠し通路がある地下2階ですね。 それ故に、基本は弱めの魔物しか生息していないので」

「授業用のダンジョンでもあるわけか」

「なるほどねぇ」


 学校の敷地内の南東に構えるダンジョンは、冬以降にダンジョン探索の授業でも使う予定なんだとか。。

 なお、件の【フロッガー】は地下二階の隠し部屋に生息しているとの事。

 それ以外は、弱めの魔物しか生息していない。


「お、君たちはエトワール魔法学校の子達だな? 許可証を見せてくれないか?」


 ダンジョン入り口で見張っている冒険者ギルド所属の兵士さんに許可証を見せる。

 なお、ダンジョンに向かう際に学校内は当然として、周辺い行く時も制服で行くように言われたが、その理由がこれだった。

 制服を着ていればそれでエトワール魔法学校の生徒だと分かるからだ。

 なお、この制服は生徒登録していないと着ることが出来ないように認識魔法を施していると、制服を渡された時にクレス校長が説明してくれた。


「うん。 ちゃんとした許可証だね。 よし、入っていいよ。 今日はそこの少女と一緒だしね」

「え、ボク?」

「そうだよ。 うちの弟から、今日の授業でファイアボールを十発同時に放ったって聞いてるよ。 その実力もミミルの町の冒険者ギルドにも伝わってるさ」

「うあぁ……」

「あ、アリスさん……」

「やれやれだな」


 まさか、ボクあの実技授業での行動が、この町の冒険者ギルドにも伝わってたなんて……。

 それを兵士さんから聞かされて、ボクは頭を抱えた。

 ジャック君も苦笑してるしね。


 アンナさんが慰めてくれたが、ファナはクレス校長の仕業だと断定して怒りを露にしていた。

 これはクレス校長、しばらく娘が口を聞いてくれなくなるかな?


「とにかく、ダンジョンに入りましょう」

「う、うん。 そうだね」


 ファナからそろそろ入ろうと言われ、ボクとアンナさん、ミーナとジャック君が後に続く。

 ボク達は、目的の【フロッガー】狩りの為にダンジョンの中に入って行った。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る