魔法学校のアリス～いじめを受けて退学した少女は、新たな魔法学校で花を咲かせる～

第１１話 クラスメートのアンナさん

　無事に自己紹介も終わり、そのまま朝の授業を受けた。

　朝の授業は、基本的に座学のようだ。

　ただ、座学も【ワルジール魔法学校】と違い、先生の教え方が上手いからか、非常に分かりやすい。

　質問に対しても真摯に答えてくれるので、ありがたい。

　さて、朝の授業を終えてファナと一緒に食堂に行き、食事をしている最中にクラスメートの女子が声を掛けて来た。

「ここ、いいかな？」

「いいよ。 アンナさんだったよね？」

「うん。 向こうじゃ別のクラスだったけどね」

　アンナさんを招いて、改めて食事をする。

　彼女のフルネームは、アンナ・アレイドという。

「向こうで校長が変わってから、アリスさんが私以上に酷い扱いを受けていたって話を聞いてね……。 気になってたの」

「最悪だったけどね。 ミーナとジャック君のおかげかな」

「そうなのね」

　アンナさんは、ワルジール時代には別のクラスだったため、あまり面識はなかった。

　彼女もフリスク一派に変わってから、初期魔力が低いとされて見下された子なのだ。

　それでも、自分以上に酷い扱いを受けていたボクを心配してくれていたのは、ありがたいかな？

「ともかく、私達はここで再起を図る予定だから、頑張ろうね」

「うん！ ボクも頑張るよ」

「私達も頑張らないとね、ジャック君」

「ああ、そうだな」

　食事をしながら、アンナさんとボク、そしてミーナとジャック君は改めて決意を示す。

　一度、フリスク一派の思想にしてやられたので、巻き返しをこの学校で図ろうと考えているのだ。

　後期のバトルフェスタも開催されるんだしね。

「そういえば、他のクラスメイトの子達もボクを心配してくれてたんだね」

「そうね。 私を含めて殆ど、初期魔力が低いと分かれば即時退学とされたからね。 フレデリカさんが気付いて保護してくれたよ」

「アリスちゃんは、前のフリット校長にも妹さんのフレデリカさんにも気に入られたからね」

「頑張ってたしな、アリスさんは」

　どうもボク以外の初期魔力が低いと判断された人たちは、即時退学処分にされていたらしい。

　フリット校長の妹であるフレデリカさんに保護されたそうだが、それでもフリスク一派に汚染されたワルジール魔法学校は知らぬ存ぜぬと言う感じだったみたい。

　ボクは、フリット校長やフレデリカさんに気に入られた為に、いじめの対象として残されたんだろうね。

　思い出しても最悪だね……。

　あいつらの前で無理やり漏らされた事がフラッシュバックしてしまいそうだ。

「そうそう。 食事が終わったらそろそろトイレを済ませましょうか。 この後のＡ組とＥ組の合同実技授業は三時間続きますから」

「あ、そうなんだ」

「じゃあ、すぐにトイレに行かなきゃ。 特にアリスちゃんは」

「あはは、そうだね……」

　昼食を食べ終わる所で、ファナが次の授業を教えてくれた。

　今日は、ファナが所属しているＡ組とボクやミーナ達がいるクラスのＥ組との合同実技授業があるそうだ。

　ただ、それは三時間ぶっ続けで行われるので、事前にトイレを済ませた方がいいようだ。

　特にボクは、ミーナが言うようにフリスク一派に何度か失禁させられたトラウマなのか、少しだがトイレが近くなっているからね。

　なので、食事を終わったらすぐにトイレを済ませて、ファナの案内の下で授業に使う闘技場へと向かうのだった。

　さて、今日の実技授業はどんな感じになるのだろうね。