第179話 4人でコラボ配信
〜〜片井視点〜〜
俺は、行方不明の日本人、風間 潤志郎を探している。そんな時に
魔炎石は高価なアイテムだ。おそらく、これが島の資金源だろう。島の秘密を少しだけ解明できたんだがな。いかんせん、これだけの情報では風間の行方はわからなかった。
依然として、彼の手がかりは少ない。もっと
栄華の入り口周辺は工事区域に指定されていて近寄れなくなっていた。
今は無理をせず、ダンジョン探索をしながら、なにか手がかりを探そうか。
そんなわけで、俺はみんなとコラボ配信をすることにした。コルと先輩たち2人だ。
1人はアメリカ人の2年生、ブラックス。彼は登録者200万人もいるトップ配信者。
2人目は中国人の2年生、
俺が配信している
そこに拍車をかけるようにブラックスと
このコラボはネットニュースになってヅイッターでは中々の盛り上がりを見せていた。
潜入するダンジョンは適当でいいだろう。
A級の無難なレベル。
もう十分に話題性はあるからな。
危険なことはしなくていいだろう。
「あは! すごいある! もう同接が200万人突破あるよ!!」
「これが
「おい銀髪。俺の登録者が200万人ってことを忘れるんじゃないぞ!!」
「でも、可愛さは
「おい、
やれやれ。
まぁ、掛け合いは上手くやれてる感じだな。
コメントも盛り上がってるしな。
『コルちゃん、がんばれーー!』
『ブラックス様に生意気言うんじゃねぇ! 小娘がぁああ!!』
『コルちゃんが天使すぎる』
『ブラックス様は今日もかっこいいです。銀髪は近づくな』
『コルちゃん最高!! ブラックスは氏んでよし』
『
なんか、ちょっと荒れてる気もするが、まぁいいだろう。
「一応、はっきりさせておくがな。パーティーにはリーダーが必要だ。実力と登録者の数からいって俺がリーダーで文句はないな?」
みんなは反論しなかった。
まぁな。誰がリーダーだろうと、この際どうでもいいんだ。
コラボが成功すればなにも問題はない。プライドの高いブラックスがリーダーをやって気分がいいのなら、それがパーティー全体のバランスに繋がるだろう。
探索はメンバー間のバランスも重要だからな。内輪揉めが一番危険なんだ。
探索は順調だった。
彼らの実力は折り紙つき。
俺が防御に気を遣うまでもなく、バトルは快調に進んだ。
「
「魔拳技、炎剛拳ある!! あちゃーー!!」
「やーー」
コルの大鎌攻撃が若干、気の抜けた感じだがな。
3人ともすごい実力だよ。
これなら、視聴者も喜ぶだろう。
「
「おけ!」
よいしょっと。
ザクン……!!
真っ二つだ。
『おおおお!
『コルちゃんもかっこいい!!』
『
『ブラックス様最強!』
『美男美女すぎるやろw』
『4人とも強すぎw』
『無双が気持ちいい』
『苦戦知らずw』
『安心して見れるな』
『爽快すぎる』
『もう映画でも金取れるレベル』
同接視聴は400万人か。
いい感じだな。
このまま一気にダンジョンボスまでいこうか。
俺たちはボスルームに到達した。
「ほあーー。大きいあるなぁ〜〜。キングガーマある」
それは30メートルを超える、大きなカエルのモンスターだった。
こいつは毒を吐いて相手を痺れさせるんだよな。
「これは運が悪いある。みんな逃げるよろし。こいつは厄介なモンスターあるよ」
「なんでです?」
「最近、ジーストリアの学生がこいつに喰われて死亡する事故が多発してるあるよ」
「だったら仇討ちでやらなくちゃ」
「無茶言うなある! 誰か1人でも喰われたらアカウントがバンされてしまうあるよ。配信で無茶は禁物ある」
んーー。
まぁ、確かに無茶はよくないか。
わざわざ危険を犯すこともないしな。
ここまででも十分な撮り高だろう。引き返すのも悪くないか。
それにしても意外だったな。
「ふん! そんなことはリーダーの俺が決めることなんだ。要は喰われず倒せばいいんだよ!」
おいおい。
「ブラックス先輩。あんまり1人でいくなってば!」
「ははは! 少しばかりリーダーの活躍が少ないんでな。これじゃあ俺のファンが残念がるのさ。
やれやれ。
こういう敵はチームワークなんだがな。
特に中途半端な打撃力じゃ危ないんだよ。
「
思ったとおり、ブラックスの槍はカエルの体皮には効かなかった。
「なにぃいいい!? 俺の槍が滑るだとおお!?」
ほらな。S級モンスターを舐めちゃいけない。
キングガーマの体はゴムのように柔らかいんだ。加えて、ヌメヌメの汗によってヌルンって滑るんだよな。
だから、単純に武器だけで攻撃するのはちょっと難しい。
「コル。火炎魔法だ」
「うん! ハイフレア!!」
カエルの油は引火性だからな。よく燃えるんだよ。
「クハハ! なるほど! 炎で油を燃やせばぬめりが無くなるって作戦か! それなら今度こそ、俺の槍が突き刺さるぞ!! うぉおおおお!!」
「まだ早いってば!」
炎魔法で怒ったカエルは動きが早いんだって。
「だはははは! ボスはこの俺がもらったぁあああああ!!」
ブラックスは毒液をモロにくらう。
「ぎゃああ!!」
すぐさま、カエルの舌が彼を捉えた。
「ぐぉおお! 食われるぅううう!!」
ったく。
世話の焼ける男だなぁ。
よいしょっと。
ザクン……!!
俺はカエルの舌を斬った。
「大丈夫か?」
「うう……。し、し、痺れるぅ……」
「毒消し魔法は
「任せるよろし」
コメントは盛り上がる。
『ちょwwwブラックス、クソダサいwwww』
『1人だけ目立とうとするから……』
『
『
『ブラックス終了のお知らせw』
『カッコ悪い……』
『
毒消し魔法で助かったブラックスは、毒が抜けたというのに全身を真っ赤にしていた。
こいつは放っておいていいだろう。
俺たち3人だけでやろう。
「コル。氷の魔法だ」
「え、なんで? 炎のダメージを与えたのにさ?」
「炎は油を奪っただけさ。あいつは動く気満々だからな。あの素早い動きを止めるのは冷気なんだよ」
「なるほど」
コルは氷の魔法を撃った。
よし。
これで俺の斬撃が通るぞ。
おりゃ。
ザクン……!!
とどめだ。
「
「任せるある! 魔拳技、昇竜脚ぅう!! ほあちゃぉあああああああああッ!!」
ドドドドォオオオオオオオオンッ!!
キングガーマは絶命した。
「よし。やったぞ!」
「やった。流石は
「すごいある! 3人だけで倒しちゃったある!!」
俺たちが喜ぶ中、ブラックスは気恥ずかしそうにしていた。
『すげぇええ! キングガーマを倒しやがった』
『あれ? リーダー誰だっけ?』
『ブラックスさん?』
『もしもしブラックスさーーん?』
『ブラックスww』
『実力は一番じゃなかったでしたっけ?』
『ブッラクス終了のお知らせ』
『完全にリーダーは
『3人の美少女が大活躍だね』
『マジ天使! 最高!!』
この配信はネットニュースに掲載されて話題になっていた。
【3人の天使。S級モンスターを討伐する】
一応、ブラックスのことも記事には載っていた。なにせ、彼のチャンネルでコラボしたんだからな。
だから、彼のチャンネル名とリンクだけはしっかりと掲載される。でも、彼についてはそれだけで、配信内でのことには一切触れていなかった。
それはそれで、ちょっと可哀想だよな。
なので、次の日にはフォローを入れておいた。
「ブラックス先輩のおかげでキングガーマと戦うきっかけになりましたよ。あのまま逃げてたらニュースになりませんでしたからね! すごく助かっちゃいました。流石はリーダーです!」
「やめろ!! もうそのことには触れないでくれ!!」
ああ、なんかフォローになってなかったみたいだな。
プライドの高い人間ってのは扱いが難しいよ。
ネットニュースの影響もあって、チャンネル登録者はその日の内に100万人を突破した。
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