第148話 カーシャの就任!
「しかし、どうしてクビになった君がこんな所へ? も、もしかして
目を細めるカーシャ。
「ククク。君の美貌なら即時合格だがね。
「……私にチャンスをくれんですか? 優しいですね」
「ハハハ! そうだ! 私は優しいんだ!! その代わり、スカートの丈は膝上25センチだぞ。ゲヘヘヘヘェエエエ」
「ああ、やらしいの間違いでしたか」
「なんだと!? 貴様、誰に向かって言ってるんだ?」
「ダンジョン探索局の
「ククク。このバカが。誰に向かってデカい口を叩いているんだ。口の利き方を気をつけたまえ! 私は局長だぞ!!」
「
「クハハ。今日付けで局長になったんだぁああ!!」
「……へぇ。それは初耳ですね。辞令は出ているのですか?」
「まだ貰っていないがね。今は環境省が忙しいのだろう。正式な辞令が遅れているだけさ。とにかく、前々から決まっていた話だ」
「それを聞いて安心しました。正式にあなたに辞令が出たのかと思いましたよ」
「ははは。まぁ、確定事案だがね」
「今日はそのことで来ました」
「なんだと!? もしかして、おまえが辞令を持って来たのか!?」
「そうです」
「なんだ! それならそうと早くいえばいいのに。環境省の関係の仕事にでもついたのかい?」
「ええ、まぁ」
「ククク。だったら仲間じゃないか。これから仲良く頼むよ。ククク。さぁ、辞令を渡したまえよ」
「あなた宛の辞令はありませんね」
「なんだと!? じゃあ、誰の辞令なんだ!?」
カーシャは1枚の用紙を取り出した。
それを広げてハッキリと見せる。
「今日付けでダンジョン探索局の局長に就任しました。
震える手で眼鏡を上げて、カーシャの辞令を見返した。
「そ、そ、そんなバカな!? なぜ!? どうしてぇええ!?」
「環境省が忙しいのです。説明は挨拶を兼ねて、私の方からするようにと。環境省からは指示を受けています」
「な、な、なんだとぉおお!?」
「今日から、私が局長です。なので、その机は私の場所ですね。どいていただけますか?」
「あ……ああ……。そ、そんな……」
カーシャは局長椅子に座ると、その座り心地を少しだけ噛み締めた。
「ディネルアさん。スカートの丈は元に戻してもいいですよ」
「ありがとうございます」
「今後はパンツルックもありですからね。礼節を守ってお洒落を楽しみましょうね。フフフ」
「はい!」
ディネルアは満面の笑みで返事をした。
このやりとりだけで、明るい未来が見えたのである。
今後、このダンジョン探索局は大きく変わるだろう。
彼女は、一瞬のやり取りだけでそれを確信した。
暗く、ジメジメとした地下のような役所から、明るい場所に生まれ変わるのを感じ取ったのである。
面白くないのは
局の資金を使って防犯カメラの機能まで改造してしまった。
こんなことが知れたら一大事。
その理由を追求されたら一貫の終わりなのである。
しかし、カーシャを見て思う。
(こんな実績もない小娘がどうして局長に? この女が在籍していたのはたった1ヶ月だぞ? そんな人物が局長になれるなんて前代未聞だ。……もしかして、
「は、ははは……。
「なんの話ですか?」
「ははは。き、君のような若い女が局長の座を手に入れるにはそれなりの努力をしたということさ」
カーシャは眉を寄せた。
その顔を見て元気を吹き返したのは
まるで水を得た魚。いや……ヒキガエルか。
「クフフフ。大方、体でも売って局長の座を勝ち取ったのだろう。今まで妻一筋だった
「最低ですね。
「事実を言ったまでだよ。
「やれやれ……。私の弱みを握ったつもりですか?」
「クハハハ! そうかもしれませんなぁああ? 反論できないのがその証拠でしょぉおお? 私の頭脳を見くびるんじゃああないぞ」
このやりとりに不安な表情を見せたのはディネルアである。
カーシャはニコリと微笑んだ。
「ディネルアさん。ちょっと部屋を出ていてください。次長と今後の話がありますからね。あなたの机には直ぐにでも取り掛かってもらいたい仕事を用意しております。まずは、その書類整理からお願いしますね」
「は、はい……」
「おやおや。私と2人きりになりたいのですか? これは意味深ですなぁ」
「大事な話ですからね」
「大方、察しはつきますよ」
「……へぇ。それはすごい」
「さきほど言っていた、環境省から受けた辞令の続きでしょう。つまりは1300億円の復興費用の捻出だ」
この金は暗奏で受けた街の被害総額である。
ダンジョン探索局はこの費用を捻出することが課題だった。
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次回!
カエル退治!
に、ご期待ください。
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