夢のお告げ

黒章ー1 召使いとして

 リー・マイヒョンが目を開けた。


「わぁ!」


 マイヒョンはその声にびっくりして、体を起こし、左右をキョロキョロと見まわした。声を上げた自分と同じ年くらいの女の子はしりもちをついて、マイヒョンを凝視している。


「ここはどこ?」


 マイヒョンは女の子にきいてみることにした。その女の子は藍色の麻に赤色で縁取りしてある筒形のものを着ていて、瞳は湖のように深く、濃いまつ毛をもち、鼻も高く、口元はびっくりしているので、あんぐり開けたままだった。


「お兄さま、来てください。すずめが目を覚ましました」


その女の子はマイヒョンの質問には答えず、兄を呼んだ。


 マイヒョンは注意深く、自分の身なりをみると、白い薄汚れた筒形のものをきており、濡れており、髪もぐっしょり濡れていた。首からネックストラップでスマホがあり、巾着袋もついていた。辺りは森のようである。スマホがあるから、夢ではないようである。


「埋葬する前に目を覚ましてよかったな。神の思し召しだろう。我等はこれから、伯父の有巣氏のところへ行くが、お前はどうする?ここで残るのもいいが、水攻めにあい、食料がない。我等と共に、有巣氏のところへ行くか?」


 女の子が兄と呼んだ人はマイヒョンのところへ来ると、マイヒョンの脈に手を当てて、提案した。


 マイヒョンはひとめでその兄に好意を抱いた。その兄は目元が涼しく、口元は賢そうに引き締まっており、顎骨が少し出ていて、男らしかった。


「一緒に行きます。ここはどこで、今は何年ですか?」


 マイヒョンは兄の言葉によく考えもせずに答えた。


「うん?頭を打ったのか?そんなことをきくとは?ここは燧明国で、父上が諸国家連合の盟主になって10年がたっている。雷公との戦で水攻めにあったのだ。生き残っているのは、我等3人だけだ。すずめ、頭を打って、おかしくなったのか?」


「すずめ。それが私の名前ですか?あなた方は誰ですか?」


 兄妹は顔を見合わせて、ため息をついた。


「我は伏羲だ。妹は女媧。お前はすずめで、女媧の召使いだ」


 すずめはがっくり、肩を落とした。転生したら、少しは状況がよくなるかと思ったら、召使いとは・・・スマホが目にとまり、急いで燧明国を検索した。伏羲の父の国で黄河中流にあるらしいというのはわかった。時計機能も使えるようなので、安心した。年数は書かれてなかったが、7月3日になっていた。巾着を開けると、金塊と自分のもっていた黒い石があった。すずめはミッションを思い出した。伏羲と女媧のことは苗族に伝わる伝説で知っていて、伏羲と女媧も王になる人物で徳が高い人物である。これはミッションは簡単に終わるかもと考えた。


「わかりました。ところで、これと同じ石をお持ちではないですか?」




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