序章ー2 五つの石の持ち主

 彩は契約書にサインした。食事は支給され、死亡しても責任は負わないと書いてあったが、野宿や闇バイトよりもましだと考えた。


「サインしましたが、他の4人って誰なんですか?」


 彩は他にも石を持っている人のことが気になったし、どう探せばいいのかもわからなかった。


「他の4人は外国人なんだよ。私の神であるアヌ様が人類に渡したが砕け散って四方に拡散したんだ。あなたはネックレスにつけてあるからわかったんだが、4人はネックレスにつけていない外国人であること以外はわからない。浅草のネットカフェに集まってくる外国人はそんなにいないから、まぁ、私も大体の予想はついているけどね。ここに集まっているのは石同士が引き合うからなんだ。私のミッションは砕け散った五つの石を集めて、人類に石の感情に共感させるというものなんだよ。もうそろそろ神の寛容が限界が近づいている。周りをみても、他人の気持ちに鈍感なひとが増えているだろう。人類に5つの仁徳に共感させることができれば、私のミッションは終了するし、このミッションが失敗すれば、人類は否定的な感情に飲み込まれていくことになる。石の色は五つ。あなたがもっている白、黒、黄、赤、緑だ。このリストは私が予想した人だ。このリストに沿って、聞いていってもらいたい。あなたの石と同じ形の勾玉の石をもっているかどうかをきいて、石同士を近づけさせると光るから、もし光れば、私の探している石だ。その持ち主が確定したところで、協力できるかきいてごらん。その時に、百万の話を持ち出せばいい。たぶん、あなたの状況をみると、他の4人も苦境に陥っているはずだから成功すると思う」


 彩はここまできいて、少しだけ安心した。自分だけが苦境に陥っているわけじゃない。そして、その苦境は自分の過ちだけのせいじゃなくて、これも神に与えられた試練なのだと思った。


 リストをみると10人ほどいたが、なぜ、店主みずからきかないのかと疑問に思い、きいてみた。


「私じゃぁ、警戒されて、協力させられないだろう。同じ年くらいの子がそれと同じ形のものをもっているといえば、信用するじゃないか。神は夢のお告げとして現れるものじゃないんだよ。人類の中にそれぞれ神が宿っているから、他の神の自由にはさせないものなんだよ」


「あなたは誰なんですか?」


 彩は一番ききたかったことをきいてみた。


「私かい、私は太陽系に流れている隕石の一つだったのが、須菩提祖師に救われて、弟子のひとりになったのだ。今回のミッションは神の怒りを解くために須菩提祖師が計画されたのだ」

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