44.オカルト同好会にて♡
「お邪魔しまー……部員は?」
「えーっと……今日はほんとは活動無い日なんだよね!」
「……へぇ」
月一でさえ活動しているのかさえ怪しい雰囲気だけれど……まぁこの際、そこら辺は触れないでおいた方が無難か。
「と……とにかく! オカルト同好会へようこそ!」
埃臭い倉庫の端に余っていた机と椅子を乱暴に置いた様な見た目の空間は、きっと本当にそうやって作られたんだろう。
そして……そんな場所に連れて来て意気揚々とそう言われたって、何かしらの好奇心がくすぐられる訳も無く、ただ胡散臭さが上がっただけなのだけれど……。
……
さも堂々とした態度で一番奥の誕生席に腰掛け、俺にどれでも好きな席に掛ける様に言ってくる。
しょうがないので俺は一番マシそうな席を探し、そこに腰を下ろす。
「で? 一体何を調べてるって?」
今日は
「あのね!……この学校にはとある噂があって……何と昔とある女子生徒が、同じクラスの子を殺しちゃったんだって!」
「あぁ……そういう事か。……何か裏付け出来るのはあるのか?」
「えーっとね……先生達には聞こうと思ったんだけど、あんまりそういう事聞いて回ってると部活にさせて貰えないかなって思って、とりあえず在校生に片っ端から聞いてみたのね」
「……ほう」
「そしたら……お兄ちゃんかお姉ちゃんがここに通ってたって人は、確かに聞いた事があるって人が多くて」
「なるほどな……深く根付いてる訳じゃないけど聞いた事がある奴も居るって事は……意外と最近の話なのかもな」
「そう、それ!……やっぱ
「はいはい……それで?」
何となく、エンタメとして楽しもうと考え出すと……意外と楽しかった。
……もしこれが中野の作り話だったとしても、それはそれで答えが用意されている訳だから……気分は謎解きゲーム、伏線のある物語が好きな身としては心が踊った。
「それで……アタシは気づいちゃったの!」
「……何に?」
勿体ぶって言うのに急かす様に聞き返すと、中野は口の横に片手を添えてコソッと伝える様な仕草で言った。
「ある一定以上のお兄ちゃんお姉ちゃんを持つ人からは……知らないって言われたの」
「! それ、大ヒントじゃ……!」
「そうなの! そのボーダーラインは……大体十年以内」
「それはまた……結構最近だな……」
「でしょ?……だから、ちょっと前から居る先生とかなら知ってる可能性があるって事」
段々と答えに近づいていく言葉にうんうんと頷きながら聞いていた時、ある違和感でつまづく。
「ん……ちょっと待てよ。……先生には聞けないんじゃないのか?」
そう。
さっき中野は確かに、部活になるに当たって目をつけられたくないからって、先生には聞き込みを行わなかったと言った。
それだと……知ってる先生が居たとしても、結局聞けない事になるんじゃないのか?
「……そう! それが問題なんだよね」
そう思って聞くと、やっぱりそれくらいは分かっていたのかそんな風に中野は言う。
が……その言葉尻は行き詰まった様では無く、まるでまだ策があるかの様な口ぶりで。
「だからこそ、下川くんを呼んだんだよ」
「……俺を?」
俺にしか出来ない事……なのか?
意図せず弱い言葉を出され、ついのめり込んで聞いてしまっていると、中野は続けた。
「下川、
「えっ……それが?」
「ふふふ……」
意味深に笑う姿に、変なお願いをしてきたらすぐ帰ってしまおうと荷物に手をかけていると、中野は高らかに言ってのけた。
「……二人がかりで、とっておきの罠に落として貰うの!」
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