第18話 対 横暴な勇者

俺は、突如ダンジョンの入口に配置した魔物の反応が消えたことで敵(勇者)が来たことを察知した。


魔族となった2人は上の階で修行をしている。早く知らせて迎撃させようかと思っていた時にその二人がダンジョンコアの前に現れた。


「下の階が騒がしかったので護衛に来ました」


「おそらく勇者がやってきた。この間捕えた冒険者の話によるとここらに来ている勇者はお前を放り込んだ奴1人らしいからな。行って相手をしてきていいぞ。あと目をダンジョンコアに捧げろ。お前の視界を通して周りの奴らに邪魔をさせないようにしておく」


「分かりました」


そういって元冒険者の魔族はダンジョンコアに近づいた。俺がダンジョンコアを操作して目を魔素で置換していく。


置換が終わった瞬間、元冒険者の魔族はダンジョン入り口へと駆けていった。


残された子供の魔族は不安なのかきょろきょろしている。


「お前はここで待機だ。もし人間が来たら余裕があれば捕える、無ければ殺せ」


「わかった!」


無邪気に笑って返事をした後、巣穴の上に昇り警戒を始めた。


ダンジョンコアを確認してみると因縁の対決が始まろうとしているところだった。


俺は周囲に結界を発動して、邪魔できないように配慮してやる。


冒険者たちは俺のクリエイタースキルの【ぼかし】の効果で周りが見えないのであろう。足をホーンラビットに貫かれ動けないものが続出していた。


「あの人員を確保するために誰か送らないとな。いや、人間である必要はないのか・・・」


俺は集落を作っているゴブリンへ命令を下し、人間を監禁所へ連れていくように指示を出した。


<横暴な勇者視点>


周りの気配が急に消えたため俺はスキル【熱波】を使用して周りに魔物がいないかを確認しようとした。しかし、【熱波】を受けた反応も声も聞こえないため、俺1人が隔離されたと確信した。


ここから抜け出せる方法を考えているときに何かの気配を感じ、大幅に回避行動をとった。



「腐っても勇者というわけか、周りが見えない状態で攻撃をよけられるとは俺もまだまだだな」


「おまえがダンジョンマスターか?」


俺の質問に対する答えは大きな笑い声だった。


「マスターがこんなところに来るわけないだろ。俺はお前にダンジョンに放り投げられた冒険者だよ」


いうと同時に相手は攻撃を仕掛けてきた。俺はそれを剣で受け止める。がそのあとに腹に蹴りをうけて吹き飛ばされた。


「どんな気分だ。さんざんコケにしてきたやつに手も足も出ないのは」


距離が開いたことで俺はすかさずスキル【熱波】を発動する。【熱波】の代償は自分もまきこむこと。自身の後ろから攻撃が行われるため自分の影にいる敵には攻撃が当たらないのだ。


確実に命中したと思われたのだが男の笑い声で俺の攻撃が外れた、もしくは効いてないことを察した。


そのことが信じられず一瞬棒立ちになったのが悪かった。俺は腹を殴られて意識を失った。

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