第17話 決戦前
冒険者4人が捕まり結構な時間がたったが勇者は訪れない。俺はその間にダンジョンに上の階を作りダンジョンコアを下に隠すという小細工を施していた。
そんなことをしている間にもダンジョンは力を蓄えており、俺のクリエイタースキルが3に上がった。
追加された能力は【カット】。これは編集作業では基本的な操作だが、どんなふうに使用できるのかは検証しなくてはならない。代償の問題もあるのでカーバンクルの様子を確認することも必須だ。
「ダンジョンが消失しました。残りダンジョンは48個です」
「勇者因子が消失しました。残り勇者は49人です」
俺はこのアナウンスに何か引っかかりを覚えた。
「勇者因子?」
「残り勇者?」
まだ何かはわからないが重大な何かを見逃している気がする。しかしそれが判明することはなかった。
この間、魔族となった2人は近隣の村まで出張して村人の拉致を行っていた。
1日に1人ずつ、しかも村人に見つからないようにことを進めていたが、とうとう村に街からの調査隊が来てしまった。
俺は調査隊の暗殺を2人に命令して報酬として攫ってきた村人の女を差し出すことにした。
ちなみに魔族となった2人は自身の魔素を消費することで魔法を扱えるようになった。しかし、外で活動することが多くなったため身体に魔素はそれほど溜まっていない。
苦戦するようであれば殺して構わないと命令していたが、2人は4人の冒険者をきっちりとらえてきた。
ダンジョンに帰ってきて、子供の方の魔族は報酬が欲しくてたまらない様子だったので俺は実験でダンジョンコアに子宮を捧げた子供の母親を渡した。
まあ、俺が想定したことになる可能性は少ないとは感じているが。
逆に元冒険者の魔族は報酬を遠慮している。だが
「ダンジョンの拡張に貢献しろ」
と一声かけるだけで抵抗することなく報酬を受け取った。その後何があったとは言わないが1人の女は妊娠しすぐに魔族の赤ちゃんを産んだ。
<横暴な勇者視点>
ダンジョンが現れた近隣の村へ調査に行ったメンバーが戻らないまま1週間の時間が過ぎた。
流石におかしいと感じたギルドマスターは勇者と同行し、ダンジョンを消滅させることを緊急依頼を出した。
俺はなかなか同行する冒険者がおらずいらだっていたが、この緊急依頼のおかげで必要最低限と思われていた人数を揃えることができた。
そして3日後、ダンジョンに到着し攻略を開始する。ここまでダンジョンの情報は何も得られてもおらずに。
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