第12話 情報
俺の目の前には、4人の冒険者が壁に貼り付けにされている。もちろん装備ははぎ取っているので危険はないはずだ。
そんな中、1人の冒険者が目を覚ました。
「いっつ。ここはどこだ?」
冒険者の男は串刺しにされた両手が痛むようだが、これは安全のためには欠かせない。そして、次々に冒険者たちは目を覚ました。
「いらっしゃい。冒険者諸君でいいのかな?。ここはダンジョンの中で捕えた人間を拷問にかける場所だよ。君たちは身なりが他の人たちと違うからちょっと話を聞こうかと思ってね」
「その前に質問していいか?」
1人の冒険者が声をかけてきた。自分の立場が分かってないのかな?とも思ったが、別に不快でもなかったため、手で合図して続きを促す。
「捕まったのは俺たち4人だけか?」
「そうだよ。他に侵入者はいなかったよ。でもダンジョン外からの攻撃が1回だけあったかな。それを聞いて満足した?」
捕まった4人はいらだちを隠せないようだった。まあそんなことは関係なかったのでどうやってこの世界の情報を聞き出そうかと考えていると冒険者側から提案があった。
「勇者の情報を渡すから俺たちの身の安全を保障してほしい。正直に言えばこのダンジョンとやらから出してほしいがそこまでの情報は持っていないと考えている」
「で、どうしてほしいの?」
「ダンジョン内でかまわないから自由に動ける権利と、傷の手当てを要求したい」
「裏切って外に出ないという保障は?」
「ないな。では、傷の手当だけでもお願いしたい」
「じゃあ、先に勇者の情報とやらを聞こうか。急いで牢屋を作らせるから情報が見合うと判断したらそこに監禁させてもらうよ」
「分かった。まずこのダンジョンに向かわせられた勇者は1人。スキルは【熱波】と言っていた。詳細は分からないが勇者自身は火の耐性がある装備を身に着けていた」
「スキル名からすると範囲攻撃系で間違いないかな。そうだとすればダンジョンの手前で攻撃された方法とつじつまが合うしね。他に情報は?」
「ここはこの国の南側に位置するんだが、この南に来た勇者は10人。他は3人1組で行動している。なぜかあいつは1人で行動していたがな。この近くの街に来た時にはこの場所が霧に覆われていることを知っていた。以前、俺たちが調査に赴いた時にギルドに話した情報が中央まで流れているのだと思う」
「【熱波】のスキルで霧さえどうにかできると踏んで1人で派遣されてきたってところかな」
「もしあいつを殺すのであれば俺たちにも役割を与えて貰えないか。あいつにはめられてこういう状況なんでイライラしているんだ」
「うーん。君たちが裏切ることができない状態を作り出せたらいいよ」
こうして冒険者たちの情報から勇者が近くにやってきたことを知った。
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