第10話 ダンジョン運営

今まではダンジョン全体に【ぼかし】を使用していたが、生物の視界にだけ【ぼかし】を発動させればカーバンクルの魔素を節約できることに気付いた。


ダンジョンコアの成長はサポートモンスターであるカーバンクルの代謝を上げることで抜ける毛の数を増やしている。


そうしてダンジョン内のモンスターが狩りを行うようになり、弱肉強食の循環が成り立つようになった。一時は【ぼかし】の影響でゴブリンたちが狩りを行うことができずに餓死するケースが出てきたので焦って改善を行ったのだ。



今はそれがより良い方向に進んでいる。近隣の村人も霧が晴れたと勘違いしてダンジョンの敷地内に狩りに訪れることがあった。もちろんその狩人は敷地内に入った瞬間に視界を奪われ、入口に配置した魔物たちに襲われて確保された。


現在は以前捕えた冒険者たち同様に拷問によって傷を増やし、そこから体に魔素を取り込まされているところだ。



俺は何をしているかと言えば、カーバンクルをひたすらブラッシングしている。ダンジョンコアの置いてある四畳半は相変わらず何もなく、することもない。


本来であれば、敷地を広げるなり門番を立てるなりするのだろう。だが、周りにはホーンラビットの巣穴がたくさんあるのでダンジョンコアがそう簡単に発見されるとは思えなかった。


唯一やったことはダンジョンコアを巻き込んだ遠隔攻撃対策に結界を張ったくらいだ。しかし、それはお世辞にも効果があるとは言いにくい性能である。魔素以外の何らかのエネルギーを得られれば一度の攻撃を完全に防ぐ結界なども使えそうではあるが、そのエネルギー元が思い浮かばない。



そんなこんなでダンジョン運営について考えを巡らせながらも、ひたすらカーバンクルをブラッシングする毎日だ。


そうして、俺は天才的なことを思いついてしまった。


「何らかのエネルギーってことは電気やガス、熱なんかでもいいのか?」


急に手が止まったので、カーバンクルがこちらを見ている。が、ダンジョンコアのメニューを開いた。


残っているエネルギーを使って細い穴を地下に向かって伸ばしたのだ。


ギリギリのところで溶岩へとあたり、地下から熱気があふれてきた。ある程度の熱はダンジョンコアが吸ってくれているようだがそれでもこの暑さにはお手上げだ。


俺は急いでダンジョンコアと生活空間を隔離した。


そんなこんなでダンジョン運営が忙しくなってきたことに喜びを感じていた。近くの街には既に勇者が到着しており、ダンジョンに向かってきていることを知らずに

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