第8話 勇者たち

<王都ギルドマスター視点>


「というわけで、この辺りに発生していたダンジョン1つを破壊してきました」


「これで魔物の発生は防げるのでしょうか?勇者様方」


ギルドマスターが下手に出ているのも無理はなかった。なぜなら信託にあった勇者50人がこの場に集まっていたからだ。


「一応、魔素を散らすように浄化をかけておきました。数年間は動物が魔物化することもないでしょう」



「ありがとうございます。それで、勇者様方は今後どのように行動なさるのでしょうか?」



「まずはギルドマスターへのお願いなのですが、最近何らかの変化があった土地についての情報を私たちに流してもらいたいのです」


「それは、もちろん協力させていただきます」



「ありがとうございます。我々はその情報を元に移動することにしてまずは四方に分かれようと思います」


「戦力を分断するのですか?その意図を教えていただいてもかまいませんか?」



「ダンジョンマスターと言われる我々と同様にこの世界へ召喚された魂にもスキルという力が備わっています。もし全勢力を1つのダンジョンに注いで自爆でもされたら我々の負けが決定してしまいますから」


「な。なるほど」



「それにダンジョンマスターは不老の存在で増えることはできないと神から聞いています。しかし、我々勇者の資質は子供にも引き継がれます。その代わりに我々は不老ではありませんが。ですので最悪我々がダンジョンを破壊できなくとも成長を妨げ、勇者の資質を持つ者を増やしていけば自然と攻略が容易になっていくということです」



「そこまで長期戦になることを視野に入れなければいけないということですか?」


「最悪の場合は。そうならないように我々も確実にダンジョンを減らしていきはしますが、最悪の場合は子供たちに未来をゆだねなければならないでしょう」



こうして王都のギルドマスターと勇者たちは会話を終えた。そして数日後、準備を終えた勇者から四方に向かって旅立っていく。


そして大陸の南方、霧が常に発生している場所があるという情報がとある勇者の耳に入るまでにそう時間はかからなかった。

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