第7話 【リセット】

冒険者を捕えてから2週間が経過した。冒険者たちが戻らないことを心配してか、毎日のようにダンジョンとの境目まで人が訪れるようになった。だが、ダンジョンに敷地内に入ってはこないため手を出すことはしていない。


例の冒険者たちはゴブリンたちによる拷問を毎日受けている。傷を追うことでダンジョンの魔素を体になじませようとしているのだ。しかし、この試みはうまくいってはいない。


冒険者たちに変化が見られないのだ。ダンジョンに取り込まれた様子もないため、人間は魔物化しないのかもしれない。だがまだ経過を観察することにした。



それから3日後、冒険者らしき装備を整えた人間が4人やってきた。



<冒険者視点>


「これは、確かに霧が発生しているようだな。クリス何か違和感は感じないか?」


「これは魔素を利用して霧が発生しているように見せかけているだけです。おそらくは最近発生したといわれるダンジョンがここにもあるのかと思われます」


「それなら、俺たちの出番はここまでだな。後は勇者様に任せようじゃねーか」


「そうですね。そこ!。手を入れると付近の魔物に引き込まれる可能性がありますよ」



そういわれた男の冒険者ことレオリオは手を引っ込めた。


「そういうことは早くいってくれよ。危うく俺も死んじまうところだった」


「可能性の話です。これほど見通しが悪いと最悪の場合を想定して動く必要があるでしょう」


「確かにそうだな。忠告、感謝するよ」



<ダンジョンマスター視点>


「ダンジョンの手前にあった人間らしき反応が離れていくな。偵察か?。少し防衛を考えないといけないな」


俺はそう1人呟いた。


冒険者がやってくるまでの3日の間に、クリエイタースキルがLv2になった。得られたスキルは【リセット】。代償は毛などの細胞の一部だ。


現在はカーバンクルをブラッシングして取れた毛を代償にして、ダンジョン周辺を警備している魔物の目に【ぼかし】効果を【リセット】するように効果を使用している。


流石に全魔物に【リセット】を施すことはできていない。魔物もどんどん代替わりしていくので効果を持った魔物を増やすこともできないであろう。


そういったことを考えているときに脳内に声が響く。


「ダンジョンが消失しました。残りダンジョンは49個です」


こうして俺は、異世界での戦いが始まったことを悟った。

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