第6話 冒険者
スキルの代償が分かってから1月、カーバンクルの魔素回復量が魔素使用料と同等となった。
そのため、今はダンジョン全体に【ぼかし】の効果がおよび常に霧がかった状態となっている。
初めの辺りでは、近隣の狩人らしき人間が調査に訪れたりしていたのだが、今ではめっきりそんなことはなくなった。そうして月日が流れた頃、珍しく装備が整った4人の青年がダンジョンの敷地内に侵入した。
だが、侵入と同時に草かげに隠れていたホーンラビットが足に向かって襲い掛かった。
突然の強襲に反応できなかった4人はなすすべなく足を角で貫かれて倒れた。そこにゴブリンが現れ、装備を剥いで4人の意識を刈り取った。
4人が目覚めたのは洞窟の中、気づけば手はホーンラビットの角で貫かれて壁に固定されていた。
そんな青年4人に俺は話しかける。
「ここはゴブリンの巣だ。お前たちはこの霧がかった場所に何をしに来たんだ?」
「お前こそこんな場所で何をしている?ゴブリンの巣といったがお前も危険なのではないか?」
「質問を質問で返すか。そんなに死にたいのか?」
俺がそういうと青年たちは急に大人しく質問に答え始めた。
「ここには急に霧が現れたということでギルドで調査の依頼を受けてきた。それで霧の中に入った瞬間襲われて、気づいたらこうなっていた」
「すまないが俺は山育ちでね。ギルドというのは何だ?」
「近くの街にある、冒険者という職業の人間を集めた組織だ。冒険者というのは、依頼を受けてそれを達成するいわゆる何でも屋だ」
「お前たちが街へ帰れなかった場合、そのギルドとやらはどういう行動に出る?」
その言葉を聞いた瞬間、4人の顔は青ざめたものとなった。
「俺たちを殺す気か?。冒険者が失踪した場合、別の冒険者が派遣されてくるか救出のために大勢でやってくるかのどちらかだ」
「であれば、お前たちには俺にとって最悪の場合を回避するために生き残ってもらうよ。まあ、死んだ方がマシかもしれないけどな」
そういって俺は、4人の前から姿を消した。
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