第11話 第二エリア 解放

翌日、朝食を食べながらニュースを見ていると、

すでに『幻想世界』が国内で30万本も売れたと報道された。


「たった一日で……」


思わず持っていた箸を床に落としてしまった。

今の状態は、需要が高すぎてVR機器の供給が追い付かない。

今後のことで思考をするが。


「おっと、今は休暇中だ、考えるな。 ゲームしろ。 未来の俺を託そう」


ゲームをするために5連休にしたんだ。

もし対応が必要なら副社長がいるし、大丈夫。


自分のSNSを開くと、様々な雑誌やテレビ局の取材が多くオファーが来ていた。

面倒なのでSNSで、取材は営業を通してから秘書に仕事を選ばせると書いとく。。

もうすでに取材しなくても宣伝は十分だし、取材よりもコラボ案件のほうが嬉しい。

俺はゲームの企画、運営がやりたいだけだ、


この休暇が終われば大型イベントの詳細会議があり、そのイベントの開発レビューで進捗会議もある。

好きなゲームに関われるだけで満足だ。


朝食を食べ終わり、昼まで幻想世界へ行こうか。









ログインをして商業ギルドから回復アイテムを購入する。

次に向かうのは、魔法ギルドだ。

光魔法のスキルレベルが2に上がったことで、売られるレシピが増えるので、新たに魔法が欲しい。

追加された魔法は二種類。

"サンダーボール"と"フェイント・ライトレイ"という魔法だ。


"サンダーボール"は、初期魔法の"ライトボール"と同じ威力で着弾速度だが稀に着弾相手に麻痺にする攻撃だ。

麻痺にすれば数秒間、対象の動きを止めることが出来る、強力な状態異常だ。

対象のRESが低ければ低いほど、状態異常になる確率が高い。


"フェイント・ライトレイ"は、"ライトボール"より威力が少し劣るが着弾速度が速いことが特徴。

手数を稼いだり、AGIが高い相手に有効である。


この魔法を買って、即座に習得した。

最後に寄ったのは、冒険者ギルドだ。

そこで、解放したエリアで出現するエネミーを討伐するクエストを受注する。

その後、『ビギナー』の第二エリアに向かう。


第二エリアは森が舞台で、結構視界が木で塞がるので、突如エネミーが出現することが多い。

なので、ここではSENのステータスがあれば有利である。

その出現するエネミーは最低でもLv7から出現して、エネミーによっては集団で襲ってくる。


そう、丁度ソロで歩いていると、3体のゴブリンが襲い掛かって来た。


「おわっ! いきなり現れてくるなよ、SENが低いんだから。 まぁ、クエスト対象が纏めて来るのは楽でいいが」


ゴブリンは身長約1mくらいの大きさで、手にはその身長くらいの棍棒を握っている緑色の人型エネミーだ。

集団で出現することが多いが、ただのゴブリンなら大丈夫だ。

アーチャーゴブリンやメイジゴブリンなど、派生のエネミーが集団に混じってると厄介だ。


襲ってきたゴブリンは、一体はLv8の個体で残りはLv7の個体。

ゴブリンといったのエネミーは出現する個体の属性はランダムだが、確率の偏りがある。

ゴブリンの場合は土と闇属性が多い。


「グギャッ!」

「ギャギャ」

「グギャッギャ」


ゴブリンは笑いながら、俺に棍棒を振り回す。


「技術力"ライトボール"!」


光球を飛ばし、一体のHPを全て持っていき消滅させる。

一体目と同じように、軽く避けながら残り2体を倒す。

これがレベル差による蹂躙だ。

さて、ゴブリンのドロップ品は『木の棍棒』や『腰巻き布』という装備品が落ちる。


今回落ちたドロップ品は棍棒が二本と腰巻き布が一つである。

棍棒はSTRが2しかなく、さらにデメリットの呼称も付くことがある。

拾った腰巻き布はデメリット呼称が付いていて、『〔粗悪な〕腰巻き布』だ。

本来のステータス値はVIT+2の防具だが、「粗悪な」が付くことでVITが-2になるためこれを装備してもなにも上がらない。


「こんなステータスなら、街に行って売るか」


あと2体のゴブリンを狩って、一つ目のクエストを達成させる。


森の探索を続けていると、蜂型のエネミー『キラービー』が襲ってくる。

蜂は風属性の固定でAGIが高く、毒状態にする攻撃手段を持っている。


「Lvは8で単体。 AGIが高いから魔法が当たりにくいんだよな」


蜂が猛スピード迫って手足を広げる。

これは、プレイヤーに引っ付いてそこから針を出して刺す、捕まったら確定毒状態にする厄介な攻撃だ。

だが、この攻撃はジャイアントラビットの突進と同じように直線の機動しか出来ない。

そのため避けやすい。

ただし、ジャイアントラビットの突進より速いのでAGIが低いと避けることが困難だ。


「まぁ、俺には関係がないんだけどね。 技術力"フェイント・ライトレイ"」


杖から微かな光線を発射して、蜂の胴体を貫く。

飛んで向かっていた蜂が失速して地面に転がり、消滅する。

AGIが高いだけの『キラービー』を瞬殺した。

その蜂のドロップ品は『キラービーの毒針』という素材アイテムだ。

こちらも後4体が出るまで付近を散歩して、見つけて蜂の突進挙動を誘、乗ったら"フェイント・ライトレイ"で瞬殺してクエストを達成する。


このエリアにはあと一種類モブエネミーがいる。

それは熊型エネミーの「ハントベア」という最低でもLv10で出現する、少し強いエネミーだ。

今やっているクエストにも『ハントベア』を一体を討伐することだ。

ほかのエネミーは5体で完了なのに、このエネミーだけは一体ということは、それだけで難度が違うことになる。


少し奥に向かって探索すると、やっとの思いで出現した。

その個体はLv11の土属性だ。


「ハントベアは能力値が防御寄りでSTRも高いから、ジャベリンを2,3発かな?」


熊は前足を思いっきり蹴ってこちらに走っていく。


「グアーッ!」


熊が咆哮を上げると、体が少し硬直した。

それにより、熊が目と鼻の先まで接近していた。


「まずいっ! スキル<緊急回避>!」


やっと硬直が解かれて、熊による爪で引っ掻く攻撃を防御スキルの<緊急回避>で左側後ろにステップをする。


「技術力"マジックフォース、"、技術力"ライトジャベリン"!」


自分自身に強化魔法を使用してバフをして、そこから放たれる光の槍は熊に大ダメージを与え、一気に熊のHPが6割消失する。


「止め! 技術力"サンダーボール"」


杖から放たれた、表面がジグザグと波を立てた光球を飛ばす。

熊は避け切ることが出来ずに、その球が命中してHPを全て削った。


もし、あの咆哮で硬直されている間に爪で引っ掻かれたら俺が瀕死まで持っていき、Lv差もあるのに2発まで耐えれる耐久はやはり強い。

そう思いながら、ドロップ品を漁る。

『ハントベアの毛皮』がドロップしていた。

その毛皮を使えば、多少は防御力の高い装備が出来上がる。

もう一種類のドロップ品があり、それは『ハントベアの爪』というもので武器になれる素材だ。

鉄製の剣アイアンソード』より多少はSTR値が高い武器が作れる。


一応、エリアエネミー以外のクエストはほぼないので帰ろうとしていると、この近くでプレイヤーの声が微かに聞こえた。

その声のトーンは恐怖がまじっているような音程だった。

まさに阿鼻叫喚だ。


俺はそっちに向かうと、変色したハントベアがプレイヤー達を切り刻み全滅させていた。


「あれってネームドエネミーのハントベアか……」


ただでさえ、この森の中で一番強い種族なのにネームドによってかなり強化された状態だ。

ジャイアントラビットを討伐してすぐのプレイヤー達が敵うわけがない。


次に狙われたのは、近くにいた俺だった。


「グァアアアーッ!」


初手の咆哮により体が硬直して動けない。

その間に熊が迫ってくる。

その速度はさっきの熊より圧倒的に速く、体感で1.5倍くらい速度だと推測する。


「〔飢えた〕ハントベア のLv23で風属性……。 俺よりもLvが高いじゃんか。 これ初の死ぬ覚悟が必要な戦闘になるぞ……」


Lv差が5あるエネミーなので、HP管理を大事に立ち回る必要があるので最初から全力で行こうと思う。

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