第10話 ペアでネームド、エリアエネミーの討伐


彼女が小さく見えるぐらいまでに戻ると、すでに戦っていた。

そのエネミーを見ていると、表記が『[荒ぶる]アングリーホース』となっていて、ちゃっかりとネームドエネミーを引き当てていた。

ネームドアングリーホースのLv14の風属性という強敵だ。


「ナ、ナッラーさん! 助けてくださ~い」


彼女は先ほど通常のアングリーホースと戦っていたのか、行動パターンは理解しているのか攻撃が当たるギリギリで避けていた。

その馬の少しの行動を見て避けて、ギリギリなのでAGIの差が大きい。


「待ってろ! 技術力"マジックフォース"、技術力"ライトボール"!」


俺は自身にバフ魔法を掛けて、機動力優先に"ライトボール"を放つ。

それが命中して、ヘイトをこちらに向けさせる。


「レコルトさんは、HPの回復を優先に! その後、これを使って」

「ありがとうございます! そして、助かりました。 お粗末な物ですが、これを受け取ってください」

「ありがとう」


俺はインベントリを開き先程買った経験値ポーションを二本取り出して、その内一本を彼女に渡す。

その時に、彼女からアイテムを受け取る。


俺は馬の攻撃を避けながら、アイテムの説明を見る。


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『知恵と敏捷のサンドイッチ』 【品質】:最低 【製作者】:レコルト


INT+2 AGI+2 HPを30回復。


INTを上昇させる薬草とAGIを上昇させる【食材アイテム】:肉を使用したサンドイッチ。


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自作の料理アイテムだ。

アイテム名に知恵と敏捷が付いているのは、調理の際に使った素材にどのステータス値が上がるかフレーバテキストに記載されているので、アイテム作成時に使用した素材の効果がすぐに分かるようになっている。


俺はその効果を見てすぐに使用する。

少しだけでもステータス値上がるのは歓迎だ。

そして、手に持っているもう一本の経験値ポーションを飲み干し、1時間の間だけ経験値を1.2に上げる。


意識を戦闘に向ける。

馬が突進したところ、軽く右に避けて近づいた所を魔法を唱える。


「技術力"レジストカースド"、技術力"ライトジャベリン"」


先に"レジストカースド"を発動して、対象のステータス値のRESを下げる。

下がったことエネミーの表記のとこにあるアイコンを確認してから、攻撃魔法を発動する。


デバフもあって馬のHPが一気に4割ほどを減らす。

上手く後ろ脚の近くに光の槍が命中したので、動きは少し鈍くなる。


「今っ! 技術力"ファイヤーボール"!」

「ヒュン!」


そこを彼女は見逃さずに火球を飛ばして1割ほどダメージを与える。

それにより、馬の悲鳴が聞こえる。


「技術力"マジックフォース"」

「まだまだ! 技術力"ファイヤーボール"!」


俺は、彼女の近くに行って強化魔法を掛ける。

彼女はINTが上がった状態で再度、火球を飛ばす。


次も見事に命中して2割強とダメージが入る。


「技術力"ライトジャベリン"、技術力"ライトボール"」


俺は光の槍を飛ばして、追撃に光球を放ってダメージを与える。

それにより、HPが一瞬で消し飛びネームドエネミーの馬は霧のように消えると同時にドロップ品を落とす。

討伐により多くの経験値が入り俺は1、彼女は2レベルが上昇した。


「や、や、やりましたぁ! ネームドエネミー討伐しました! ナッラーさんありがとうございます」

「ご苦労様、初めての討伐おめでとう」

「一気に経験値を獲得してレベル2も上がっちゃいました!」

「それはすげーな」


彼女は満面の笑みをこちらに向けてきた。

俺もつい、無邪気に笑ってしまう。


デバフの作用で一気にHPを削ることが出来るとか、デバフは優秀だな。


ある程度落ち着きを取り戻して、戦利品の方に目を向ける。

4000Cと『アングリーホースの皮』が五枚、『アングリーホースの肉』が四つに装備品が二つ。

そして、俺の足元にはラストアタックボーナスの宝箱があった。


「それは何ですか?」

「これはネームドエネミーをHPを最後に削ったプレイヤーに報酬として出る宝箱だよ。 アイテムまたは装備が入ってるよ」

「いいなぁ~。 次は私が止めを刺せるように頑張らないと!」


俺は討伐報酬の食料素材以外を半分に分ける。

装備品はどちらも『〔狂う〕骨の腕輪』という腕装備だ。


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『〔狂う〕骨の腕輪』


VIT+1


〔狂う〕:STR+5 SEN-2


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その効果はSTRを上昇する装備で俺は使わないので、ソルジャーさんに渡そうかなと考える。

次に宝箱を開けると、馬の頭があった。

性格には馬の頭の被り物の様だ。


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『〔荒ぶる〕馬の頭』


VIT+1


〔荒ぶる〕:STRを+5%上昇して、INTを-5%をする。


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すっごくいらねー。

まさかのお遊戯装備かよ。

これもソルジャーさんに渡そうかな……。

STRが上がる強力な効果だし、きっと気に入ってくれるかも。


彼女は、宝箱の中身を見て口元を手で隠して震えている。

そのリアクションを無視して、装備品をインベントリに放り込む。


「レコルトさん、今のレベルっていくつですか?」

「ぷふ……、は、はい。 今はLv8になりました」

「なるほど、少し早いけどエリアエネミーに行く? さっきのように俺がヘイト溜めて回避中心に立ち回る感じで」

「お願いします! ナッラーさんが居れば勝てる気がします」

「任せて。 期待しているよ、その火力」

「はい!」


俺たちは休憩がてら、ゆっくりとエリアエネミーのポータルに向けて歩く。

まるで、ピクニックをしている気分になる。









そろそろ子ども寝る時間帯では大きなお友達は、エリアエネミーに挑めるほど強くなった者が多くなってきた。

周りには、待機してる人やパーティーメンバーを募集するような呼びかけがいる。

俺たちの前にいた4人の男女パーティーがポータルに入った。


「よし、前が空いたし俺達も行こうか」

「はい! でも、前の人と被ったりしませんか?」

「それは大丈夫、エリアエネミーが出現する場所はそれぞれ別の部屋だから、今もどこかで戦ってるよ」

「へぇ~、詳しいんですね」

「ほかのゲームも似たような仕組みだからね。 それじゃあ、バフしてから行こうか」

「はい! ナッラーさん、これをどうぞ」


彼女から渡されたのは、先ほど貰った同じ効果のサンドイッチだ。


「ありがとう。 INT上がるアイテムは助かるよ」

「スキル<調理>って便利ですよね! スキルレベルが上がったら凄くパラメーターが上がりそうで夢が広がります!」

「しかも回復アイテムも作れるし、アイテムとして好きなタイミングで使えるからいいよね」


俺たちは挑む前に料理アイテムでパラメーターを強化してから、強化魔法でINTを底上げをして、ポータルに触れる。

一瞬で視界が変わり、エリアエネミーのボス部屋に着いた。

しばらくすると、『ジャイアントラビット』が出現した。


「すっっごく、大きいウサギだぁ! まんまる!」

「クッションとしてデザインしたら売れそうだな」

「ですね! それよりもあの子、どんな肉を落とすのかな?」

「急にメルヘンからホラーになった!?」

「兎肉っておいしいって聞いたので、つい」


可愛く誤魔化そうとしていたが、ナチュラルに可愛いからの肉発言は普通に怖い。

でもたしかに、仮にもエリアエネミーだから食材をドロップしたらどのくらいのバフ料理が出るのだろうか?

そこのところ細かい調整は把握していないので楽しみだ。

と、考えていたら兎が突進の構えとして前屈みになった。


「そろそろ来るぞ。 技術力"ライトジャベリン"」


正面にいる兎の頭部に光の槍が命中する。

レベルが上がって、INTも底上げしているおかげかデバフなしでも2割半を削る。

この調子ならすぐに倒せそうだ。


「すごい一発で!」

「以前戦った時は、この魔法と物理攻撃含めて2割強だったのにな」

「この調子ならすぐに終わりそうですね!」

「だな。 技術力"ライトジャベリン"!」


兎が突進する前に攻撃を行い、ヘイトを稼ぐ。

ついに兎が動き出した。

俺は彼女と位置が一直線にならないように立ち回りしたおかげでヘイト向かっている俺に向かって走る。

その突進を回避して、"レジストカースド"で兎のRESを下げる。

俺が回避したことにより、兎は突進によりエリアの壁である木に激突して怯む。


「よし一斉攻撃だ! 技術力"ライトジャベリン"!」

「はい! 技術力"ファイヤーボール"!」


INTの高い二人による容赦のない一斉攻撃を行ったことで、約1分半ぐらいでエリアエネミーを討伐した。


「エリア解放おめでとうレコルトさん」

「ありがとう!ナッラーさん」

「この調子なら周回出来そうだし、経験値ポーションが無駄にならないように一緒に周回する?」

「いいんですか!? じゃあお言葉に甘えて周回に乗らせていただきます!」


このエリアを出てすぐにポータルへ行く。

最終的には、俺は周回によりレベルが4上昇してLv17になって、彼女はレベルが5上昇してLv13になっていた。


そのステータスがこちら。


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プレイヤー名:ナッラー  性別:男性

Lv:17


【属性】:光

【HP】:330/330

【MP】:995/995

【スタミナ】:330/330


【種族】:天使族:RES(+30%) ATT(+70%)


【職業】:

【サブ】:


▼ステータス値:


【STR】:10

【VIT】:10(+19)

【INT】:150(+12)

【RES】:20(+6)

【DEX】:10

【AGI】:100(+5)

【CHA】:10

【ATT】:40(+28)

【SEN】:10

【LUK】:10


▼装備


【頭】:巨兎の三角帽子

【首】:

【服】:〔獣キラーの〕兎皮の服:獣型のエネミーに対するダメージを5%上昇する。

【左武器】:-

【右武器】:鉄製の杖

【腕】:

【腰】:

【足】:〔跳躍力の〕兎皮の靴:AGIが5上昇する。


▼スキル欄

<飛行Ⅰ>、<MP再生Ⅰ>、<光魔法Ⅱ>、<緊急回避Ⅰ>、<復活の光輪Ⅰ>


▼技術力

<ライトボール>、<ライトジャベリン>、<マジックフォース>、<マナウォール>、<レジストカースド>


【カルマ値】:3


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周回により光属性多用により<光魔法>のスキルレベルが上昇した。

これにより新たなレシピが追加されて、スキルの効果で光属性の技術力の威力が+10%アップするので、さらに火力が伸びる。

強化魔法、弱体化魔法はもう少し発動すればスキルが獲得しそうではある。


ステータスに関しては、INTを150まで上げて火力を上げる。

今回初めて上げたのは、ATTだ。

天使族の種族補正でかなり上がるため、伸ばしてみようと思った。

あわよくば、従魔を捕まえてテイマー方向のビルドもありかも知れない。


次にレコルトだ。


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プレイヤー名:レコルト  性別:女性

Lv:13


【属性】:火

【HP】:235/235

【MP】:815/815

【スタミナ】:235/235


【種族】:エルフ族:INT(+30%) DEX(+70%)


【職業】:

【サブ】:


▼ステータス値:


【STR】:10(+2)

【VIT】:10(+4)

【INT】:100(+30)

【RES】:10

【DEX】:70(+49)(+3)

【AGI】:10

【CHA】:10

【ATT】:10

【SEN】:10

【LUK】:50




▼装備




【頭】:

【首】:

【服】:布の服

【左武器】:-

【右武器】:万能包丁

【腕】:

【腰】:

【足】:皮の靴


▼スキル欄

<調理Ⅰ>、<解体Ⅰ>、<採取Ⅰ>、<火魔法Ⅰ>、<MP再生Ⅰ>


▼技術力

<ファイヤーボール>


【カルマ値】:10


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INTは切りがいいところまで上げて、残りはDEXとLUKにステータス値を振った。

LUKを上げれば、クリティカルダメージに補正が乗って瞬間火力が上がるのだが、そのためだけじゃない。

主な要因はスキル<解体>と<収穫>による補正のためだ。

ただ、DEXに高いので戦闘面でも強いだろう。


「これで次のエリアに行っても大丈夫そうですね!」

「防御力が低いのは、不安だろうけど」

「そこは大丈夫です! 料理アイテムで無理やりVITやRESを上げますから!」

「何という発想力……。 料理スキルが強く見える……」

「目の付け所がいいんです、ふんす!」


と、話し合っていると日付が変わった。


「そろそろ私、落ちますね」

「ああ。 また機会があったらパーティー組んで遊ぼう」

「はい! 楽しみにしてます! おやすみなさい」

「おやすみ~」


彼女は挨拶をしてログアウトをする。

一人になった俺は、街に戻りクエスト達成報告を済ましてからログアウトをした。


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詐欺タグにならないように、徐々に主人公を強化していきます!


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