第40話 力と知恵の差
エンマタイは、大きな洞穴以外の穴が、全て岩で塞がれていることに怒り、激しく震えていた。
さらに、岩は光を発しており、近づくことさえできなかった。
エンマタイは地の民を率い、最後に残された大きな洞穴から出て戦いを始めようとしていた。
彼は、かつて経験したことのないほどの大地震を引き起こした。
溶岩と火砕流の流れが、山の民たちに襲いかかってきた。
山の民たちは、立ち向かうことさえままならず、戦いが始まった。
ミコは溶岩を防ぐために水晶を地面に突き刺した。
それにより、ひび割れした地面には溶岩が流れ込み、ミコの前でその流れが止まった。
しかし、地の民は溶岩の岩を彼らに向けて投げつけてきた。
さらに、火砕流も近くまで迫ってきた。
しかし、川の民は水を使い、海の民はチグとアグにより、懸命に溶岩と火砕流を防いでいた。
ジルの矢は、やはり地の民の近くで燃えて届かなかった。
唯一、邪馬台国にある水晶の針を使ったレミルの吹き矢が、地の民を苦しめていた。
火の民は、レミルの活躍を見るなり、火の石や火の水で地の民に攻撃を仕掛けた。
これによって、地の民との戦いはほぼ五分五分の状態になっていた。
最終的には、エンマタイとミコの力と知恵の差が勝敗を分けることになる。
エンマタイは、溶岩を火砕流とともに噴き上げ、空中から山の民の上に降り注がせた。
逃げ場を失った民たちは、洞窟に避難するしかなかった。
エンマタイは、不敵な笑みを浮かべながら、私たち地の民に勝てるものなどいないと豪語した。
そして、次々と攻撃を仕掛けてきた。
しかし、ミコは火の民と協力し、地の民が攻撃してくる場所に、火に燃えない網を隠し張り、落ちてくる溶岩をその網に貯めて、打ち返す作戦を立てた。
これには、エンマタイさえも驚愕し、「火の民までもが我々を攻撃するとは何事だ!」と口走った。
しかし、これほどでは私は倒せはしない、と彼は言い放った。
エンマタイは、今までに経験したことのないような地震を引き起こし、全ての領域を破壊し始めた。
ミコや火の民たちも、立ち上がることができず、倒れ込んでしまった。
さらに、溶岩や火砕流も押し寄せてきた。
このままではミコの力でも、山の民の敗北は避けられないと思われた。
エンマタイも邪馬台国の敗北と全ての民を支配下に置くことが確実になると考えていた。
そして、山の民が、神の山と敬う山が崩れ始めた。
しかし、ミコは最後の手段として、この時を待っていたのだ。
地震の中、急いでレミルを呼び寄せ、わずかに残る水晶の針を、吹き矢でエンマタイの目に命中させるよう指示した。
これにより、エンマタイを洞窟に引き返させることがひとつの目的だった。
地震が激しく揺れる中、ミコは全ての民の運命をレミルに託した。
彼女はレミルに、地震に揺れながらもエンマタイの目に、残り少ない水晶の針を吹き矢で命中させるよう告げた。
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