第35話 勇者バグル

 そこへ助けを求めに行ったララが海の民のチグを連れてきた。

 チグは風の力を使って火砕流を操ろうと試みた。

 すると、火砕流の勢いは少し収まったものの、完全に取り除くことはできなかった。

 一方、ララは川の民にも助けを求め、火砕流に水をかけるよう頼んだ。

 川の民は力強く水を打ち当て、煙を抑え込んだ。

 しかし、火砕流はまだ収まらず、攻めてきた。

 火砕流から身を守るため、山の民はみんなの協力を得て、火砕流が届かない、空の民の崖の一番高い場所や、川の民の滝が流れる裏の洞窟や、海の民の海岸にある洞窟に避難することにした。

 そして、今後の地の民との戦いに備えるための対策を考えた。


 バグル、ジル、ルイ、レミルは地の民と戦っていたが、火砕流の煙のために相手が見えなかった。

 そこで卑弥呼は、みんなに指示を出した。

 チグには風の力をフルに使って操るように、川の水をアグに全力で火砕流に打ち当てるように、そしてミコにも地面に水晶を差し込むようにと。

 地面が割れ、火砕流が少しは地の中に落ちた。

 しかし、煙を操るオニキは火砕流を力強く攻め寄せた。

 すると、アグの水が火砕流に打ち当たり、チグの風が水に濡れた火砕流を力強く止めた。

 そして火砕流は、ミコが水晶で地面を開けた場所に流れ込んでいった。

 すると、オニキの姿が現れた。

 オニキは

「お前たち、さすがにオニアを倒しただけのことはあるな!」

 そう言って、空の上から火砕流を打ち込んできた。

 バグルとジルは、弓矢や槍でオニキに攻撃を仕掛けたが、火砕流に触れると弓矢も槍も燃えてしまった。

 そしてすぐに火砕流が迫ってきた。

 みんなは、最後の避難場所である洞穴に隠れようとしたが、この火砕流では洞穴も安全かどうかわからなかった。

 その時、バグルは邪馬台国に伝わる水晶の槍を卑弥呼に頼み預かった。

 卑弥呼もこの危機においては、自分の全ての力を出し尽くさなければならないことを悟っていた。

 そして、アグとチグの力によって火砕流が弱まる中、邪馬台国で一番速くて力強い馬キヒュールに乗り、水晶の槍を手にしたバグルは、オニキに向かって馬を走らせた。

 そして崖を飛び越え、火砕流の中に身を投じながら、オニキに槍を投げつけた。

 バグルは崖を飛び越え、火砕流の中でオニキに槍を放った。

 力強く放たれた水晶の槍は、燃えることなくオニキの体に突き刺さった。

「ガァーーー!」

 とオニキが叫び声を上げ、倒れ込んでいった。

 しかし、バグルが槍を放った瞬間、火砕流に飲み込まれ、崖を飛び越えた時点では、オニキの前で馬と共に骨だけが残っていた。

 オニキは最後に

「なぜだ…」

 と言い残し、息絶えていった。

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