第32話 来世の約束

微かな声でミユヒルが伝えた。

「いつも迷惑ばかりかけて、すみません。卑弥呼様、何も力になれなくて...」

卑弥呼は涙ぐみながら答えた。

「あなたはよく頑張っています。私を守ってくれたではないですか?」

ミユヒルはミコを見つめ、寂しげに言った。

「最後まで守りきれなくて、ごめん。来世でも俺を見守ってほしい。ふたりで生きよう。それから、レミルのことを頼む。」

そう言うと、ミユヒルは静かに瞳を閉じた。

ミコはミユヒルを抱きしめながら叫んだ。

「死んじゃだめ!私もレミルも、あなたがいないと生きていけないから!」

泣きじゃくりながらミユヒルを抱きしめた。

卑弥呼は何も言わずにその場を立ち去り、涙を隠していた。

しかし、ミコの願いは叶わず、ミユヒルは二度と目覚めることはなかった。

ミユヒルの壮絶な生涯が、終焉しゅうえんを迎えたのだ。

地の民の支配者であるエンマタイは、地の底へと逃げ去った後、卑弥呼とミコの攻撃によって手を失い、苦悶くもんのうめき声をあげていた。

「なぜ私の槍が卑弥呼に通じなかったのか!あのミユヒルという足の速い山の民がいようとは思ってもいなかった。私の槍が通じなかったのは初めてだ。憎き山の民、卑弥呼にミコ、私の腕を奪ったことは絶対に許さない。覚悟しておくがいい」

とエンマタイは言い、次の攻撃の準備を地の民に命令した。

エンマタイの使い人であるオニヤとオニキは、これまでにない地の民の全勢力を駆使して、攻撃の準備を始めた。

ミユヒルの死によって、ミコの悲しみは消えることなく、戦いの幕が上がった。

地の民は数万本の針を飛ばし始めた。

山の民は逃げ惑い、川の民や海の民の領域に避難した。

そして、火のついた矢や槍が次々に飛んできた。

バグルとジルは山の民を避難させた後、地の民が攻撃している場所を、空の民の領域から調べた。

地の民は、崖の陰や見えない場所に隠れ、草や木の間に穴を掘って攻撃を仕掛けていた。

彼らはそれを徹底的に調査し、その結果を卑弥呼に報告したのだ。

地の民の針によって多くの人々が傷つき、炎に包まれた槍や矢が建物に突き刺さり、燃え盛る炎がその身を舞い上げた。

岩が建物に激突し、破壊の爪痕を刻んだ。

卑弥呼は全ての民が絶滅してしまうのではないかと懸念し、川の民や海の民と協力して戦うことを決意したのだった。

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