第28話 エンマタイ現わる

 地の民は地震を起こし、山は崩れ去った。

 山の民たちは立つこともできず、地の民への反撃も果たせなかった。

 地の民の支配者であるエンマタイは、時を見計らって地上に姿を現した。

 彼は皆に告げた。

「我々は徹底的に攻撃する。我々の力を思い知るがいい。そして降伏し、我々の支配下に入るのだ」と。

 そう言い残し、エンマタイは地に姿を消した。

 エンマタイの攻撃により、山の民たちは逃げ場すらなく、轟音と共に大きな岩が押し寄せた。

 多く山の民たちの命が奪われた。

 それでも地の民の攻撃はまだ終わらなかった。

 そこに川の民が現れた。

 彼らの力強さによって岩は押しのけられ、地震の場所に大きな岩を囲み、村を守るための塀を作った。


 その後、卑弥呼は両手を広げて太陽の光を集め、地の民の洞穴へとに光をうち当てた。

 すると光に弱い地の民たちは、地下深くに立ち去り、地震と崖崩れによる地の民の攻撃は止んだのだった。

 しかし、山の民たちが払った犠牲は甚大なものであった。

 卑弥呼はヒコ、サコ、バグル、ジルを呼び集め、今後の対策について話し合うことにした。


 その頃、ミコとルイは、地の民の領域へとたどり着いた。

 そして、ルイの案内に従って、ミユヒルが捕らわれている洞穴へ近づいていった。

 洞穴の中では、ミユヒルは食べ物も与えられず、衰弱し傷ついたままだった。

 早く助けないと命に関わる状態だ。

 一度、山の民を逃がしたことから、見張りはますます厳重になっていた。

 彼らは体に鎧をまとい、吹き矢などから身を守り、顔には布を巻いて、眠りの薬を吸い込まないようにする対策も取っていた。

 ミコは心配そうにルイに問いかけた。「どうすればいいのか、わかりますか?」

 ルイは自信を持って答えた。

「大丈夫。私はサジの薬草について十分に知識があり、新たな薬草も見つけ出しました。ここでは、まだ地の民の目が開いています。彼らの目を開けられなくする薬草を使いましょう。」


 言葉を交わす間もなく、ミコとルイは力を合わせて薬草を燃やし始めた。

 すると、地の民の見張りたちは次第に目を抑え始めた。

 彼らの目が開けられないのは、まさにミコとルイが薬草を燃やし始めたからだ。

 見張りたちは苦しみながらその場に座り込んでしまった。

 その隙を見て、ミコとルイはミユヒルの元へ急ぎ、彼を助け出した。

 ミユヒルの両肩を抱え、洞窟から脱出したのである。

 地の民がやっと目を開けることができるようになった時には、ミユヒルたちはすでに逃げ去っていたのだった。

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