第26話 地の民の技術力

 中にはただの崖崩れだと思う人々もいた。

 しかし、卑弥呼はサコ、ヒコ、ルイ、ララ、ミユヒル、バグル、ジルたちを集め、対策を考えることにした。

 地震や崖崩れの際、近くで人影が目撃されたという情報があり、卑弥呼は地の民の攻撃であると確信したのだった。


 卑弥呼はミユヒルとルイに地の民の調査を命じた。

 二人は、崖崩れが発生した場所の近くで地の民を目撃したと証言した村人に案内を頼み、山へ向かった。

 山の中には小さな洞穴があった。洞穴の入り口はわずかな隙間で、ひとりがやっと通れるくらいの大きさだった。


 しかし、ルイは何かを感じ取り、ミユヒルに言った。

「多分、この穴から地の民が出入りしたに違いない」と。

 彼はほんのわずかながら地下深くに生息する苔の香りを嗅ぎ分けたのだ。

 ミユヒルはルイの言葉を信じ、その洞穴に入ることを決意した。

 ルイも彼に続いて洞穴へと進んでいった。


 村人たちは、ルイとミユヒルが洞穴に入ったことをミコに伝えた。

 ミコはダウジングによって洞穴の危険を察知し、それを卑弥呼に伝える。

 卑弥呼は若いレミルに、ルイとミユヒルにとりあえず戻ってくるように、伝えに行かせた。

 一方、ルイとミユヒルは洞穴の奥深くまで進み、地の民の中心部に到達した。

 彼らが目にしたのは、地の民が驚くべき技術で作られた数々の武器や道具だった。

 それらは、火の民よりも優れた技術力を持っていることがわかった。

 ルイとミユヒルは、この武器や道具で攻撃されたらひとたまりない!と身体を震わせた。


 彼らが地の民の技術力に見入っていると、後ろから人影が近づいていたが、2人は気づかなかった。

 しかし、ルイは微かな香りに気付き、瞬間的に息を止めた。

 すると、ミユヒルは突然倒れてしまった。

 ルイはすぐにその香りが眠りの薬草を燃やしたものであることに気づいた。

 その時、後ろから地の民が現れ、

「お前たちは山の民だな? 空の民や火の民を倒しただけのことはあるな。こんな眠りの薬を回避する人間がいるとは初めてだな?」と言った。

 そして、ルイとミユヒルは捕まってしまった。

 地の民に連れて行かれる途中、その様子をレミルが目撃していた。


「やっと追いついたか」

 と思った矢先、地の民に捕まっていたと知ったレミルは、もう少し早く追いついていれば…と後悔したのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る