第16話 不安な噂

 山の民の平和は、海の民と川の民の協力によって長らく保たれてきた。

 しかし、風の噂によれば、火を操る恐ろしい力を持つが存在しているというのだ。

 彼らは黒い水を火に変え、全てを焼き尽くす力を持ち、近くの村々を支配下に置いている。

 この噂は、山の民たちを次第に不安にさせていった。


 そのような中、ミコとミユヒルの間に男の子が生まれた。

 彼の名はレミルである。

 しかし、喜びの最中、山の民たちは東の山に立ち上がる黒い煙に気付かなかった。

 レミルの誕生によって、山の民は喜びのうたげを開き、ミコとミユヒルには大切に育てるように伝えられた。

 ちょうどその頃、山の見張りを担当していたジルが慌ててやってきて叫んだ

「東の山から黒い煙が上がり、火の矢が飛んできている!早くここから避難するんだ!」

 そう、それは火の民の襲来しゅうらいの始まりだった。


 再び、この戦いで山の民は大切な命を失うことになるのだった。

 山の民の村は火に包まれ、焼き尽くされる運命にひんしていた。

 卑弥呼は川の民の助けを求めるために出かけた。

 川の民は力強さと川の水源を活かした火を消す方法に長けていたのだ。

 彼らは竹を使って水を流し、小枝や葉っぱに水をつけながら回すことで、山の民の家の火を消していく独自の方法を持っていた。


 川の民の手法によって、山の民の村の火は次々と消し去られていった。

 ミユヒルとミコはレミルを連れ、ミコがダウジングで調べた安全な洞窟へと避難していた。

 一方、卑弥呼は新たな敵の出現により、サコとヒコを呼び、戦略を話し合った。

 山の民の家が焼かれてしまったため、

村人たちは、火の民が再び襲来するのではないか、と不安に思いながらも、家の修理に取り組んでいたのだ。

 火の民に関する情報は、近くの村に黒い水の火を使ったあらゆる攻撃により村を焼き尽くし、支配下に置くということぐらいしか得られていなかった。

 しかし、卑弥呼は次に攻め込まれた時の備えとして、水の貯蔵庫を作り、火の矢を跳ね返す網を準備した。

 また、サコは声を使って動物たちを火の民の所へ誘導することにし、ヒコは火の民の食べ物に心を安らげる果樹を混ぜ込むことを考えた。

 そして、ルイは卑弥呼からの命により、サジから受け継いだ眠りの薬を火の民に与えるように指示された。

 ミユヒルたちは攻撃に備えて準備を進めていたが、ミコはダウジングによって現在の山の民の村での戦闘は、敗北の可能性があることに気づき、別の場所への移動を提案した。

 しかし、卑弥呼や村の人々は、慣れ親しんだ土地を離れることに抵抗を感じ、ミコの考えは支持されなかった。

 村人たちは、不安ながらも団結し、自分たちの村を守るために様々な対策を講じていった。彼らの決意は固く、火の民の脅威きょういに立ち向かう覚悟を持っていたのである。

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