第15話 ミコの怒り

 それを優しくミユヒルはミコの肩を抱きしめるしかなかった。

 悲しみのあまり、ミコは自我を見失っていた。

 彼女はダウジングの水晶を地面に突き刺し、轟音ごうおんが響き渡った。

 地面が割れ、その中に空の民が落ちていく。

 ミコは首に輝く勾玉を空高く放り投げた。

 すると、雷が勢いよく勾玉に突き刺さり、空の民は炎に包まれる。

 その力の凄まじさに、クモノサチですらミコに攻撃を中止するよう懇願した。

 しかし、サジの死によって正気を失ってしまったミコは攻撃をやめようとしない。

 このままでは空の民は絶望的な結末を迎えてしまうだろう。

 ミユヒルはミコに少しでも攻撃を中断するよう告げる。

 山の民も海の民も、その力に驚きの表情を浮かべるばかりだった。

 放っておけば、空の民は誰一人として生き残れないと思えるほど、ミコは猛攻を続けている。

 しかし、卑弥呼はミコに攻撃をやめるよう命じる。

 ただし、ミコは怒りに満ち溢れており、卑弥呼の声が届かないほどであった。

 そのとき、青い空の彼方からかすかな声が、ミコの耳に届いた。

 それは、信頼するサジの声だった。

 "ミコよ、怒りを抑えなさい。私は来世で必ずミコに会うことができるようにする。何千年経とうとも、私たちは同じ命のもとで再び出会い、あなたを守り抜くのです。約束するよ"。

 サジの言葉が心に響いた。


 ミコは一瞬にして正気に戻り、攻撃をやめた。

 その時、空の民はすでにほとんど全滅していた。

 壮絶な戦いの果てに、山の民が勝利を収めたのだ。

 しかし、卑弥呼は犠牲の数を見て、戦いに疑問を抱いていた。

 戦いでは犠牲はつきものだと分かっていても、ミコの感受性が過剰ではないかと心配したのである。


 そこで、卑弥呼は決断した。

 ミコを山の民の使い人の一人から外すことにしたのだった。

 ミコは自然の力を自在に操る特別な存在であったが、山の民に命の尊さを教えるためにはこの選択が避けられなかった。ミコも卑弥呼の判断を理解し、素直に受け入れた。


 そして、ミコの後任として卑弥呼に選ばれたのは、ヒコという山の民だった。

 ヒコは食べ物や飲み物を使って人を眠らせ、体調を整える特殊な力を持っていた。

 これは人間には知られざる力であり、戦いなどにおいて有利に働くのだった。


 彼らは未知の力を手に入れたことで希望を抱き、再び団結し、未来への道を切り拓くのだった。




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