第14話 仲間を守るため
ジルは矢を打ち返すのをやめ、みんなと同じように体を伏せた。
しかし、見えない敵に対して、山の民たちは戦う手段を持っていなかった。
彼らは空の民の力に勝つことはできないのだろうか…
数多くの山の民が倒れてしまった。
そして、サジのもとに飛んでくる矢は防ぎようがなかった。
ミユヒルとルイは腕に、バグルとジルも足に矢を受けていた。
しかし、これだけの傷で済んでいるのは奇跡に近いのだ。
山の民はもはや
すると、クモノサチの不敵な笑い声が響き渡った。
「山の民よ、我々の支配下に入るのだ。お前たちに勝つ手段はもはやない。
全ての山の民が滅びる前に降伏するのだ」
と彼は言った。
その時、クモノサチ自身も驚いた。
なぜなら、海の民のチグが現れ、霧の風によって彼を吹き飛ばしていたのだ。
海の民たちが手助けに現れたのだった。
イワトカミは山の民を救うために、全力で戦うように指示した。
ようやく、空の民との戦いに真正面から立ち向かうことができるようになった瞬間だった。
霧が晴れた場所には、ルイやミユヒルたちの姿が現れた。
しかし、そこには体中に矢を受けたまま倒れているサジの姿もあった。
サジの周りには、ミユヒルやバグル、ジルなども傷を負いながらも戦う意志を示していた。
ところが、霧が晴れ、サジの姿が光にさらされた時、体中に矢が刺さったサジの姿が明らかになった。
そう、サジはみんなを守るためにたった一人で矢を受け止めていたのだ。
それに気づいたミコは泣きじゃくりながらサジのもとへ駆け寄った。
戦いは海の民の助けによって、空の民と
しかし、矢を全身に受けたサジを助けるため、ルイは盾でサジを囲み、みんなが必死に治療に努めた。
ミコとルイも全力を尽くしてサジを助けようと、あらゆる手段を試した。
しかし、サジは言った。
「もういい、私は十分に生かされた。」
そう言ってルイを見つめ、ミコの顔を見ながら
「幸せに生きていくんだよ。お前が私の代わりに卑弥呼様の力となるのだ」と。
サジは息を引き取った…
ミコはサジの胸元にしがみつき、泣きじゃくっていた。
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