第13話 ルイの救出

 その時、ルイの体を力強い腕がつかみ上げ、ミコをつかもうとした。

 しかし、それに気づいたルイは、ミコを自分のもちいる力で投げ飛ばした。

 そう、彼は滝に投げて助けようとしたのだ。

 ミコは滝の下まで落ちて行き、追手は彼女を見失ってしまった。

 その時、ミユヒルたちがミコを助けに現れた。

 しかし、ルイだけはクモノサチにとらわれていたのだ。


 卑弥呼はルイを助けるために、そして山の民を守るために、戦うしかないと決意した。

 ミコ、サコ、ミユヒル、バグル、ジル、サジを中心に戦いにいどむために、空の民の元へ向かった。

 やはり、空の民の中にはクモノサチとソチ、リチたちが待ち構えていた。


 滝の上に広がる草原の中央に、ルイは高い柱に縛り付けられていた。

 このままでは嵐が来た時、ルイは雷に打たれてしまう運命にあった。

 空には落雷が舞い、卑弥呼たちは自らの力を振り絞り、それを止めようと奮闘ふんとうしていた。

 彼らは同時に、別の場所にも高い柱を打ち立てた。


 ミコはダウジングを使って、棒を打ち立てるべき場所を見つけた。

 サコは声を響かせ、空の民の心を癒し、戦意を失わせるように尽力した。

 サジは眠りやしびれの香りなどを駆使した。

 そして、ルイのもとへ助けに向かうサジには、ミユヒルやバグル、ジルといった仲間が力を貸した。

 何とかルイのもとに辿たどり着くことができたのだった。


 ミコが指示した場所には落雷らくらいが降り始めていた。

 しかし、ルイを早く助け出さなければ、雷が彼におそいかかるタイミングはいつ訪れるか分からない。

 空の民たちも必死に戦い、山の民たちを苦しめた。

 しかし、クモノサチにはサジの薬草や魔術も通用しなかったのだ。

 そこで、卑弥呼は光をあやつり、敵の目をくらませることで対抗した。


 ルイのところにたどり着いたサジは、縄を解こうとしたが、なかなか解けなかった。

 そこへミユヒルたちが駆けつけた。

 みんなの力を合わせ、なんとかルイの縄を解くことができたのだった。

 しかし、その場所はクモノサチとソチ、リチの空の民によって囲まれ、逃げることができない状況だった。

 クモノサチは巧みに霧や雲を操り、周囲を見えなくした。

 そして、ソチには音を聞き分けさせ、サジたちのいる場所に矢を放つよう指示した。

 一方、リチの匂いを嗅ぎ分ける力知ったサジは、匂いを消す薬草を使い、敵の感知を麻痺まひさせた。

 霧の中で、サジたちを囲むように矢が放たれたが、サジはみんなに静かに行動するよう指示した。

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