お 出 か け ②

 サイ◯リアでランチを取ることにして、空いている席に座る。


「えっとー、このベーコンチーズピザとー、このぉーステーキを下さい。あっ、あとフライドポテトもお願いしまーす」


 早是がそう注文して、店員さんがキッチンにその情報を伝えに行く。


「いやーさっきのゲーセン楽しかったなぁー!」

「うん! マジ楽しかった!」


 カーレースやエアホッケー、太鼓◯達人の話で盛り上がる。


「いやーでも難易度鬼は本当に鬼だったな」

「あれフルコンしてる人は人間じゃないよ……」

「お待たせしましたー」


 10分ほどすると先ほどの店員さんがやって来て料理を置いていく。


「ごゆっくりー」


 レシートを筒みたいなのに入れて立ち去る。


「んじゃあ冷めないうちに食っちまおーぜー」


 そう言って早是はピザカッターでピザを切り始めたので、俺もステーキを一口サイズに切る。


 そしてお互い切り終わった。


「うし、切り終わったし食べよーぜー」

「「いただきまーす!」」


 そしてステーキにフォークを刺して食べる。


「美味い!」

「やっぱサ◯ゼは神だわ」


 愛花の手料理には到底及ばないがめちゃくちゃ美味い。


 特にステーキにかかっているタレが美味い。


「岩井岩井」

「ん?」

「ピザ分けてやるからそのステーキくれよ」

「良いよ」


 一口サイズに切ったステーキを何個かナイフに刺して渡す。


 そして早是もピザを一切れくれた。


 ……結構大きいね……。


「ん! んめぇじゃん!」


 め……目がキラキラしてる……!


「お前もそれ食ってみろよ」


 ピザや手に取って


「ハグッ!」


 と食べる。


「ん! んふぁ美味い!」


 まだ噛みちぎれていないから上手く発音出来ない。


「あぁー……やっぱサ◯ゼは神だわ」

「それさっきも言ってたよ」

「何度言ったって良ぃーだろぉー?」

「まあね」


 お互い笑ってまた食べる。


「なあ」


 半分ほど食べたぐらいの時に早是が話しかける。


「どした?

「この後どーするよ?」

「……んー」


 思いつかない……。


 陰キャの俺が思い付く訳ないじゃマイカ!


「じゃあさ、ちょっと良いとこ連れてってやるよ」

「良いとこって……エッチぃ店とかは行かないよ?」

「んなとこじゃねーよ。お前も多分知ってるぜ?」

「え? マジ?」


 俺が知ってる場所……? 東京タワーとかか?


「取り敢えず、食い終わったらそこに行こうぜ」

「おいおい、どこ行くのかくらいは言ってくれよ」

「…………お楽しみで」

「はぁ〜……分かった」


 ガツガツと食べて、早是がトイレに行った後、お会計を済ませて店を出る。


「おっと、時間がやべーなー。急いで駅行くぞ!」

「え!? えぇ!?」


 とんでもないスピードで早是が走って行く。


 というか電車を使って一体どこに行くつもりなんだ……?


 電車の空いていた席に座り、ゲーセンの話をする。


「あの時のあのアイテムは――」

「エアホッケーのあの瞬間は――」


 電車内だから声を大きくして喋ったりはしてないけど、結構盛り上がった。


 そして何度目か覚えてないアナウンスが鳴り


「あ、ここだここだ、降りるぞー」

「へぇー」


 今まで来たことない駅だ。


 ……当たり前か。


 俺外出なんてほぼしないし。


「こっちだこっち」


 一体どんな所に行くんだろう?


 移動する早是に付いていくと一つの一軒家に着いた。


「えーと……ここどこ?」

「ここ、見てみ」


 早是が目の前の家の表札を指さす。


「んん〜?」


『花園』


 ……………………え?


「早是……なんで花園さんの家の前に来たの……?」

「ちょいとお邪魔しようと思って」

?」


 お邪魔する?


 それってどういう……


『ピンポーン』


 インターホン鳴らしてるぅぅぅぅぅぅ!


「ちょ! 何してんの!?」

「へへへー」

『はいー?』


 花園さんの声が……。


「早是でーす」

『あっ、早是君? 今行くから待っててね』


 ドアがガチャッと開く。


「早是君! 来てくれ…………岩井君!?」


 や、やっぱいちゃまずいか……。


「はははっ、驚いたろ?」

「ほんとビックリしたー、なんで一緒にいるの? というか知り合いだったの?」


 いやほんと彼と知り合いになれたの奇跡だと思うわ……。


「んじゃ、入っても良い?」

「良いけど……岩井君も来るんだったらさっきの連絡してくれた時に言って欲しかったなー」

「ごめんごめん、ドッキリしたくてさ」


 連絡してたんかい!


 …………あぁーサイ◯リアでトイレ行ってた時か!


 というか今から花園さんの家の中行くんだよな……?


 こ、心の準備が……。


「さあさあ上がって上がって」


 めっちゃ綺麗な玄関だなぁ……。


 しかもなんか良い匂いするし。


「あぁ!」


 早是がスマホを見ながら突然そう叫ぶ。


「ど、どうしたの?」


 突然叫ぶからビックリしたわー。


「母からなんだけどなんか交通事故起こしちゃって100万円必要らしい!」

「…………それ詐欺じゃ――」

「大変! 急いで行ってあげて!」


 花園さぁぁぁぁぁぁん!?


「ああ、行ってくる!」


 そして早是は花園さんの家から飛び出していった。


「……この後どうしようか?」

「う、うーん……」


 こんな状況なった事ないから分かんねぇ!


 はっ! そうだ! 久しぶりに【探知】パイセンにお世話になろう!


【探知】を発動させて、今俺は何をしたら良いのかを知る。


「……まあ、ここまで来ちゃったしお邪魔させてもらえないかな?」

「分かった、お茶持ってくるね」


 この家にいる事がどうやら正解らしい。


 あっぶねー俺帰ろうとしてたわ。


 リビングで待っててと言われたのでリビングのソファに座る。


 うおっ、なんか凄い柔らかい。


「お待たせ」


 お茶が入ったコップを二つ花園さんが運んでくる。


「早是君……大丈夫かなぁ?」

「大丈夫だと思うよ」


 さて……何しようか。


「あっ、岩井君」

「ど、どうしたの?」

「今日早是君と出かけてたんだよね?」

「うん」

「できればなんだけど……どんなとこ行ったのか聞かせてくれないかな? 私、友達と遊んだ殆どないから……何をするのか気になって……」


 花園さんって友達と遊んだりしないんだ。


 結構意外だなー。


「良いよ」


【探知】を使いつつゲーセンやファミレスでの事を話す。


 凄い笑ってくれたりしてくれて嬉しかった。


「あら、もうこんな時間」


 あっ、結構長い時間話しちゃってたっぽいな。


「あっ、ごめん花園さん。こんなに話に付き合わせちゃって」

「良いの良いの、すっごい楽しかったし」


 花園さん……やっぱ良い人だなぁ……。


「……ねえ」

「ん?」

「ご飯作るんだけど、食べてかない?」

「ええ!?」


 はっ、花園さんの手料理!?


「い、良いの……?」

「別に大丈夫よ、よく作ってるし」


 花園さんマジパねぇ。


 花園さんはキッチンへと向かい、フライパンやなんやらを準備し始めた。


 するとその時


『ガチャ』


 と玄関の扉が開く音がした。


「舞ー、ただいまぁー」


 …………えっと……どちら様ですか?

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