生徒会室閉じ込め事件の真相
はぁ〜すっごい緊張した。
花園さんが合鍵持ってたから良いけど無かったらほんとヤバかったな……。
ま、取り敢えず出られて良かった良かった。
校門を出て駅に通じる道に行くと……
「おーい! 岩井ー!」
「!?」
俺の名前を呼ぶ人がいるだと!?
辺りを高速で見回すと、手を振りながらこちらに向かって走って来る人が。
何何何何!?
急いで逃げようとしたところで気付く。
……あれ? 早是じゃね?
「ちょ、逃げようとしないでくれー!」
何でこんな所に? 友達との予定は?
「ど、どうしているの?」
「んなことより、生徒会室でロマンチックな雰囲気になったか?」
「……まさか、早是!?」
「どうなんだよー!」
早是はめっちゃ俺の肩を膝で突いてくる。
「はぁー、早是が期待しているようなロマンチック展開にはならなかったよ」
「んなぁ〜そうかー、やっぱ花園さん強いなー」
早是は片手で顔を
「てかあれビックリしたよ」
「でも二人きりになってちょっと良かったろ?」
「そりゃあまあ……ね?」
むしろ嬉しくない男子は存在するのだろうか?
否、いるわけがない。
「ところでどうやって鍵を取ってきたのさ?」
「んー? まあ、頑張ったからだね」
「もう少し細かく説明を……」
だが早是はその後もはぐらかした。
ま、確かにどうやって取ったかはどうでも良いか。
途中で分かれる際に連絡先を交換し、そのまま電車に乗った。
☆
― 1時間前 ―
「ありがとー! 助かる〜! 今度なんかお礼するから!」
そう言って友達である
「出来たか?」
「ああもちろん」
「んじゃ、これを授けよーう」
「ははー」
高橋から『生徒会室の鍵』を受け取る。
「うし、ありがとな。ところでどうやって盗ったんだ?」
「なぁに、まず先生の首をトンッと――」
「や、やっぱ聞くのやめとくわ……」
こいつ一体何をやったんだ……?
「高橋!」
「!?」
「ちょっと来い」
そう言われて生徒指導の先生に引っ張られていく高橋。
だが彼はそんな状況でも『グッドラック』という意味を込めたサムズアップを続けていた。
高橋ぃぃぃ!!
君の事は……忘れない……。
さてと、尊い犠牲のお陰で岩井を花園さんとのロマンチック展開に持ち込めそうだ。
岩井が生徒会室に入ったのを確認して鍵を閉める。
中から声が聞こえたりドアがバンバン叩かれたりしたがガン無視して逃げた。
生徒会室は校舎の奥の方にあるから、人が通りかかる事はあまり無い。
だからこういう事が起こってもバレにくい。
しかもあの部屋は内側からも鍵が無いと出られないドアだからまぁ一時間くらい居てもらうか。
そしたらロマンチックな展開にもなるでしょ。
我ながら完璧な作戦だ。
…………ラブコメの読みすぎとか無いよな?
いや、大丈夫だ、うん。
少し離れた場所から生徒会室を見る。
まあ中は見れないんだけどな。
ロマンチックな展開になっているかどうか不安になる。
あぁーやる側ってこんな気持ちになるんだなぁー!
なんか罪悪感もある。
でも……でもこれは花園さんの為でもあるから心を鬼に……。
だが30分程して生徒会室のドアが開いた。
あれ!? 何で開いたんだ!?
ま、まさか合鍵でもあったのか!?
あぁーくそ、その可能性を完全に忘れてた!
でももう抜け出しちったし……。
しゃーねぇ! この30分間の間になんかロマンチックな事が起きてると願うしかねぇ!
そうしてこの学園から一番近い駅に通じる道に行く岩井に向かって走った。
☆
いやぁーまさか早是が鍵を閉めたとはね……。
まあでもお陰で二人っきりになれたし、別に良いんだけどね。
スマホを開いていつものダンジョン系ゲームをやろうとしたが、電車に乗る前に早是と連絡先を交換したのを思い出す。
連絡先を開いて見てみる。
『母』『花園』『早是』
うん、ちゃんと交換してある。
……ここ数日ですっごい幸せ感じれてるわ。
だって今までなんも変わらなかった日が毎日何らかのハプニングがある。
もちろんそのハプニングは命に関わるやつじゃないなんて……最高じゃないか?
「岩井君」
「うぇ!?」
突然そう呼ばれて驚きつつ声のした方向を向くと
「よ」
幸天さんがいた。
「幸天さん……久しぶりですね……」
「神様と色々あったの」
「色々って?」
「黒いノートを二冊こっちの世界に落としちゃって」
「……んー?」
「んでそのままだとちょっとヤバイ事になるから回収してた」
それなんてデ◯ノート?
ちょ、てか天使がそんなの持ってて良いもんなの!?
「へ、へー」
苦笑いしか出来ねぇ!
「んでさ、君ー、今【探知】ちゃんと扱えてるかい?」
「ちゃんとって?」
「ヘンな事に使ってないとか」
「逆に【探知】をどうやってヘンな事に使えるんだよ」
「確かにね」
あっ、あの事聞いてみるか。
「そういやさ」
「ん?」
「【探知】使おうとしたら『現在は使用できません』って出てきたんだけどあれ何?」
そう言うと幸天さんは目をまん丸にした。
「……『現在は使用出来ません』ってなったの?」
「うん」
「…………マジかー」
何が!? 何がマジかーなの!?
「いや、何でもないよ。ちょっと神様に報告しなきゃなだけ」
それ結構重大じゃない!?
「じゃあ私は次の駅で降りるから」
「うっ、うん」
そう幸天さんが言った瞬間駅に着いた。
「じゃ」
そう言って幸天さんは駅のホームの人集りに紛れてしまった。
さてと、俺も帰るとしよう。
そう思いながら電車の揺れを感じた。
♪
「ただいまぁー」
「お帰りなさいお兄ちゃん!」
愛花がリビングから飛び出してくる。
「どうしたどうした? なんかテンション高くないか?」
そう聞くと愛花の目が光る。
「ふっふっふー……お兄ちゃん! 今日の晩御飯は凄いんですよ!」
「な、何だって!?」
愛花が凄いという料理だと!?
まずい、美味すぎて死ぬかもしれない。
「もうすぐできますから早く来てくださいねー」
そう言って戻って行った。
た……楽しみすぎる!
自室に走って向かい即行着替えてリビングに行く。
「わっ、お兄ちゃん早いですね!」
「当然だ」
愛花の美っっ味い料理を食べるのが楽しみすぎる。
「よいしょっと、出来ましたー!」
「!!」
さぁて何が出来てるんだ!?
愛花が蓋を開ける。
するとめっちゃ記憶にある匂いの料理だった。
「……なあ愛花」
「なんですかお兄ちゃん?」
「それもしかしてだが……前も食べなかったか?」
「美味しくなってるので大丈夫です!」
そう言って愛花がリビングの机に持ってくる。
「どうぞ!
「やっぱカレーじゃねぇか!」
てかあれまだ残ってたのか!
「すっごい寝かせたので絶対美味しいですよ!」
美味しいのは分かる。
でもな愛花、一昨日もカレーだったぞ?
「はぁ〜まあ美味いだろうから良いけど」
そう言って一口食べる。
………………うっっっっっっっっっっま。
は? トロみえっぐ。それに野菜も美味い。
「愛花ぁ! マジで店開けって!」
「お兄ちゃんはお世辞が上手いですね〜」
世辞じゃねぇマジだ!
あっという間に鍋に入っていたカレーを食べ終わり、キッチンに食器を
そしてベットに横たわりスマホを開いて連絡先の『早是』の文字を見る。
……俺……また学校の有名人と連絡先交換したんだなぁ……。
その喜びを噛み締めながら、昨日見忘れた映画の続きを見る為にリビングに向かうのであった。
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