超☆絶ハプニィィング!

 ランチを食べた後、すぐに席に座り机と一体化する。


 視線が! 視線がヤバイ!


 ここに来るまでにもとんでもない視線がブッ刺さってきた!


 というか実はランチタイムでも結構刺されてた。


 あの状況下で話せる早是凄すぎ……。


 流石さすが陽キャの中の陽キャ、視線に慣れてるぅ〜。


 ………今度お昼ご飯一緒に食べてくれる……。


 嬉しいな、普通に。


 明日もまた一緒に食べれるのかな?


 いや、早是には俺以外にも沢山の友達がいるし、俺と食う事はあんまりないだろうなぁー。


 暇だったらって言ってたし。


 ま、気長に待つとするか。


 あーでも相手陽キャの中の陽キャだからいざ一緒に食べる時とかちゃんと話せるかなぁ〜?


 ……無理だ、話せん。さっきのは例外。


「岩井、ここの答えは?」

「うぇ!? あぁはい!」


 今まで呼ばれた事が無いからビビったー!


 先生せんせー! 今まで呼んでこなかった俺を突然呼ぶなんてどういう風の吹き回しですかぁー!?


「えと……Why?」

「Yじゃない」

「あー…………」

「もういい、座れ」


 うぅ……悲しい。


 答えられなかった恥ずかしさと座れと言われた悲しみが同時に襲ってくるー!


 机と一体化して落ち着いている間に、授業が終わった。


 というか次の授業も終わってた。


 さてと、帰るか。


 下駄箱へと向かい、靴を手に取ろうとすると……


「あっ、岩井!」


 その声の主にその場にいた人全員がふり向く。


「岩井ー、探したぜー!」


 それは早是の声だったからだ。


 ぐわぁぁぁぁぁ!!!


 また! また視線がぁぁ!


 特に女子からの視線が痛すぎる!


 さ、流石モテ男。ファンが多いなぁ……。


「今時間ある?」

「あるよ」

「あのさぁー、さっき生徒会室に呼ばれた時に資料とか置き忘れちったっぽいんだよね。それ取ってきてくれないか? 俺この後友人と用事があって……」

「分かった」

「ありがとー! 助かる〜! 今度なんかお礼するから!」


 そう言って早是は友達の所へ走って行った。


 んじゃあ俺も資料取りに行くか。


 生徒会室に行き「失礼します」と言って中に入る。


「……あれ? 岩井君?」


 ……うぇえ!?


「なんの用かしら?」


 は、花園さん!?


「あぁえと! は、早是が置いて行った資料とかを取りに……」

「? 早是君は生徒会室に来てないわよ?」

「え?」


 その時、後ろから施錠された様な音が聞こえた。


 ……マジで?


「どうしたの? 岩井君」

「えと……扉に鍵をかけられたっぽいです」

「え!?」


 花園さんが扉を開けようとするが開かない。


「誰か! 誰かいませんか!?」


 そう言って花園さんは扉をバンバン叩くも、誰も来ない。


「ど、どうしよう……」


 この生徒会室は、内側も鍵で開けるタイプの扉の為、鍵が無ければ出る事が出来ない。


 ……おいおいこういうのって普通体育館倉庫とかでなるもんじゃないの!?


 やばい、二人きりはヤバイ。


「取り敢えず……誰かが来るまで待つしかないんじゃないんですか?」

「そ、そうね、それしか無いわね」


 中央の机の周りにある椅子に座ると、花園さんも同じように座る。


「……ど、どうしましょうか?」

「…………」


 あ、あれ?


「花園さぁーん?」

「あっ、どうしたの?」

「この後どうしようかって」

「ど、どうと言われてもね……そうだ、生徒会の仕事を少し手伝ってくれない?」

「えぇ!?」


 そんなもん俺に任せちゃって良いんですかい!?


「大丈夫、計算機で予算の合計とかを調べてくれたりするだけで良いから」

「分かり……ました」


 それくらいならば俺でも出来そうだ。


 部活の書類などが沢山積まれている机を見る。


 うおぉ……結構あるな。


 これを毎日やってんのかぁー……お疲れ様です。


 椅子に座って計算機を手に取り、計算を始めた。









 最近色々と仕事が多い。


 そりゃあ、生徒会長やってるから多いのは当たり前なんだけど、流石に多い気がする。


 少し書類を机の端にやり、荷物をまとめていると、扉が開いた。


「……あれ? 岩井君?」


 いっ、岩井君が生徒会室に!? 何で!?


「何の用かしら?」


 冷静になるのよ私! ただ昨日電話しただけじゃない!


 ……お、思い出したらなんか恥ずかしくなってきた……。


「あぁえと! は、早是が置いて行った資料とかを取りに……」


 早是……君? 


「? 早是君は生徒会室に来てないわよ?」

「え?」


 彼がそう言った瞬間、何やら慌てた表情になる。


「どうしたの? 岩井君」

「えと……扉に鍵をかけられたっぽいです」

「え!?」


 そんな!? 鍵は……あっ! 職員室に置いていたんだった!


 試しに扉を開けようとするが、岩井君の言う通り鍵が閉まっていて開かない。


「誰か! 誰かいませんか!?」


 と叫んで扉をバンバンしてもダメだった。


 あぁー普通こういうのって体育館倉庫とかで起きるもんじゃないの!?


「ど……どうしよう……」


「取り敢えず……誰かが来るまで待つしかないんじゃないんですか?」


 誰かが来るまで……岩井君と二人きり!?


「そ、そうね、それしか無いわね」


 あぁーヤバイ、心臓が破裂しそう。


 岩井君が近くにあった椅子に座ったので私も座る。


 ……少し距離を離して。


 ほんとなんでこんなに緊張するのかしら?


「花園さぁーん?」

「あっ、どうしたの?」


 呼ばれてたの気付かなかった……。


「この後どうしようかって」

「ど、どうと言われてもね……そうだ、生徒会の仕事を少し手伝ってくれない?」

「えぇ!?」


 我ながら良いアイデアなんじゃない?


 これならお互い〝一緒の部屋に閉じ込められている〟というのを意識しなくて済むし。


 ……私何でこんな事を悩んでるんだろう。


 チラッと岩井君の方を見てみる。


 ……すっごい動揺した顔してる。


 なんで動揺してるんだろう?


 あっ、もしかして仕事難しいとか思ってる?


「大丈夫、計算機で予算の合計とかを調べてくれたりするだけで良いから」

「分かり……ました」


 良かった、合ってたみたい。


 彼は計算機がある机に向かって書類を数枚見た後、椅子に座って計算を始めた。


 さて、私も色々やらないとなぁー。


 いつも座っている席に座って、自分も計算機なんかを出そうと机の中をあさる。


 すると……










「……あ」

「どうしました?」

「合鍵ここに入れてたの忘れてた」


 …………花園さぁぁぁん!!


 それ忘れないでぇぇ!!


 いやぁ〜でも良かった! 出られる!


「ならそれで出ちゃいましょう」

「分かってる」


 実は計算する量がめっちゃ多くて少し萎えたのは内緒だ。


「計算する量多くてちょっと萎えたりしたでしょ?」


 ……花園さん、エスパーだったんですか?


「私もあれやるの本当にやだー」

「ほんとお疲れ様です」


 マジ頭上がらん。


「まあ無事出られて良かったー」


 そう言って花園さんはほっこりした様な表情になった。


 ぐぁ!? か、可愛い!


「あのさ、今日の夜……また電話しよ」


 で、電話のお誘い!?


「わ、分かりました! 今夜、しましょう」


 緊張して変になっちったー!


「うん、今夜ね」


 そう夜の電話の約束をした後、下駄箱に少し駆け足で向かった。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る