飯友達できました
目覚ましの音で起きて制服に着替えて愛花の朝ご飯を食べて
電車に乗るのがめっちゃ楽しみなのだ。
何せ昨日……花園さんとお、お電話を……。
ぐへ、ぐへへへへへ
「ママー、あの人変な顔してるー」
「しっ! 見ちゃダメよ!」
おっと、ヤバい顔をしちゃってたっぽいな。
電車に乗って花園さんが乗ってるのを待つ。
「まもなくー、××駅ー、××駅ー」
あ、来る。
ドアがプシューという音と共に開いて、凄い勢いの風が吹く。
「あ、岩井君!」
花園さんが俺の横に来る。
ははは、それだけでリヘ◯ラドールが大量生産されてるなぁー。
視線にはもう慣れた。
今じゃもう跳ね返してるからね。
「昨日は電話ありがとう」
「いえいえ、楽しかったですよ」
「ほんと? 良かったー」
昨日電話したからなんとか話せてる!
「そうだ、また今日も話して良いかしら?」
「もちろん良いですよ!」
また花園さんと話せるのか!
「うふふ、ありがと!」
……普通に可愛いな……。
やべ、
その後は、普通に会話をした。
凄くね? 普通に会話できたんだぜ?
学校に行き、下駄箱で靴を履き替えていると……
視線が、凄い。
電車の中の比じゃないレベルで見られてる。
まあ昨日花園さんと一緒に帰ったからね……それのせいだろう。
てか絶対それだけじゃないな。
何故なら……
「じゃあね岩井君」
「は、はいまた……」
一緒に登校したからだ。
「なんであんな奴と花園様が……」
「誰だあいつ?」
「ジロジロジロジロ」
あぁー視線が跳ね返せねぇ!
てかジロジロって実際に言ってる奴初めて見たわ!
無視して教室に入ると「うわ、来たよ」みたいな視線。
うーん、これは痛い。
まだ俺の視線防御力では耐えられないのもあるのか。
席に座ってまた机と一体化して視線がダメージを軽減する。
授業が始まったが、花園さんの事を少し考えるだけで終わる。
時間経つの早すぎじゃね?
もう休み時間になっちゃったよ。
ここまで早く感じたのは間違いなく初めてだなぁー。
すると教室の扉付近が騒がしい。
何だ何だ? 俺への痛い視線が無くなったからありがたいけど……
皆んなが集まっている所には
「あっ、そこの君! ちょっと来てくれないか!?」
……俺じゃないな。
めっちゃ指さされてるけど俺じゃないな。
別の奴だ別の奴。
「おーい、机と一体化してる君だよ君!」
……俺だな。
このクラスで机と一体化してるの俺だけだな。
あ゛ぁー視線が! 視線が遅れてやって来やがった!
「またアイツかよ」
っていう心の声が聞こえるぅー!
下を見ながら早是君の元に行く。
「ちょーっと付いてきてくれる?」
なんだろう……この展開前にもあったような気が……。
早是君に付いていくと中庭に着いた。
「まあまあそんな堅苦しくなるなって」
陽キャの中の陽キャに呼び出されて堅苦しくならない陰キャはいない!
ベンチに座って早是君が要件を言う。
「んで付いてきてもらった理由だけどー」
「はい……」
「君、昨日花園さんと一緒に帰ったんだって?」
もう連絡先も貰っちゃたぜ!
「まあ、そうですね」
「凄ぇー…………なあなあ、もしかして君と花園さんて付き合ってるの?」
「ゴホッゴホッ!」
すんごい質問をぶっ込んで来たな!
「おい大丈夫か!?」
「だ、大丈夫です……」
「ごめんごめん、そんな風になるとは思わなくて……でもその反応的にやっぱ付き合ってるの?」
「付き合ってないです」
「あっ、付き合ってないか……」
一応、俺の運命の人らしいけど。
「そうかぁーまだかぁー」
そう言って早是君はベンチから少しずれ落ちる。
「まだって……誰かと付き合わせたいんですか?」
「いやぁーあのね、俺って一応花園さんと幼馴染なんだよね」
えぇぇぇ!? そうだったの!?
どうりで
「でも俺はぶっちゃけ一緒にいすぎてもう女として見れないから、付き合うってのは無いんだよね。だから付き合ってくれる人探してるっていう感じ」
へぇー……なるほど。
「岩井君さ、花園さん好き?」
「ゴッホゴホゴホ!!」
さっきの質問より威力上がってる!
「あぁごめん、この質問もダメか」
「あぁーえと……一応……好き……ですかね?」
「おぉ!!」
あぁーなんかめっちゃ恥ずかしい!
「その恋俺めっちゃ応援するよ!」
「えっ!?」
「実際花園さんは恋に関しては
「あ、ありがとう……ございます」
「うん! あ、俺の事は気軽に早是とかはやっちとかで良いから!」
そう早是が言い終わった時にチャイムが鳴った。
「おぉっと授業が始まっちゃうね! んじやあまた後で!」
そう言って早是は走って行ってしまった。
「……ロマンチックな展開か……」
一体この先どうなるのやら。
♪
中庭であった事を考えていると、またすぐに授業が終わっていてランチタイムになっていた。
いつも通り中庭に行くと……
「あっ、やっぱ来たか」
早是がいた。
「ど、どうも」
「そんな堅苦しくなんないでってー、ほら一緒に食おうぜ」
早是の隣に座って弁当を開ける。
「おぉ! それ手作り?」
「は…………うん」
「凄ぇ! 俺の分けるから少しくれよ」
……なんか、凄い普通の生徒みたいな事してる気がする。
相手はこの学校の人気者だけど、弁当の具材交換は……本当に普通の生徒っぽいな……。
「……ん? おい大丈夫か?」
「え?」
「いや、目がうるうるしてるぞ」
おっと、そんな目になっちゃってたのか。
「いや、こんな具材交換なんてした事なかったから……」
「……あぁーそうか。友達と一緒に昼飯食った事ない感じか」
「はは……」
「んじゃあこれからは暇な時一緒に食ってやるよ」
「ほ、本当に!?」
「マジマジ」
もしかして……友人が……一人増えた?
「じゃあその卵焼き頂きー」
「あぁ!」
「ほれ、俺のブロッコリー食っていいぞ」
「割に合ってない!」
いやぁー友達と昼ご飯って良いわ、うん。
その後も交換しまくって最終的にはもう弁当の中身が丸ごと入れ替わってしまった。
「美味かったー」
「だね」
「そろそろ授業だから俺行くわ、じゃね」
「うん、また」
そう言って早是は校舎の方に戻って行った。
高校生生活二年目にてようやく友人が二人できた。
あ、そういえば【探知】使ってなかった。
……無くても会話出来たのか……俺……。
なんか少し成長したんじゃないかなーと思う。
ま、思い上がりだと思うけど。
そう思いながら俺も校舎へと向かって歩いた。
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