第6話 聖ヨルダル教会再び

「なんで魔物連れて帰って来てるんですか?ほんとに」と、修道女マリアンナは金髪をかきあげながら言う。

「そこは大目に見てよ。わたしのペットにするんだから。」と、わたしは答える。

「紙がうまい」ヨルは相変わらずだ。

「教会はペットを飼うのは禁止です。どうしても飼うなら別の場所へ移ってもらいますから。それはさておき、次の依頼が来ています。死霊しりょうの森、ハウルゼン。もちろん、知ってますよね。聖ヨルダル教会から南東へ5キロ。死神からリッチ、ソーサラー、スケルトン、スケルトンナイト、ゾンビ、ドラゴンゾンビまさにアンデットの巣窟、オンパレード…。でも元勇者と魔王の娘様なら楽勝ですよね。」と、修道女マリアンナはわたしを見ている。

「…聖地へ行っていいの?」と、わたしは聞く。

「聖地?いやいや、死霊しりょうの森ですよ。耳悪くなりましたか?大丈夫ですか?」と、修道女マリアンナは本気で心配している。

「あーマリアンナさん。リズこそ真の死神様であり、死の使いを死神と呼ぶのはよくない。まあ、そのなんだ。リズの言う通り、リズにとってはアンデットの巣窟は聖地なんだ。それはついて来れば分かる。」と、ヨルが正気に戻って説明してくれる。

「言われている意味が分かりません。分かりませんが、私は行きたくありません。でもまあ、ついて行くなら連れて行ってください。それでその魔物どうするんです?」

「教会の外で飼うわ。それならいいでしょ。」

「誰かが見つけたら退治しますよ」

「退治されないように結界ぐらい貼っておくわよ。それでどう?」

「好きにしてください。そのペットの名前、テラサって言うんじゃないですか。まあ、あなたならやりそうですね」

「ご名答。じゃ、またね」と、わたしはテラサの首ねっこを持ち、教会の外へ運ぶ。簡易結界を張って、そこにテラサを置く。

これで安心ね。と、わたしは教会の中へ入って、ヨルに抱き着く。

「それで行ってくださるので?」と、マリアンナさんは聞いてくる。

「行くわ。もちろんよ。聖地ですから」と、わたしは答える。

「それじゃあ、一緒に行きましょう」


わたしたちは三人で死霊しりょうの森へ行く事になった。

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