第2話 ハムカツ

ケイさんは今日も料理をつくる。


ケイさんはハムカツが食べたかった。

スーパーで売っているような厚いハムでつくったものではなくて、4枚入り1パックで売られている薄いロースハムのカツだ。

幼いころからケイさんにとってはそれがハムカツだったので、スーパーで厚いハムカツを見たときはびっくりしたくらいだ。

厚いハムカツももちろん美味しい。

でも、たまに食べたくなるのはあの薄いペラペラなハムカツだった。

売っていないものは自分で作るしかない。

けれど、揚げ物をつくるには少しだけ「揚げ物やるぞ!」という気合が必要だった。

そして、残っている油の量とかパン粉や小麦粉がちょうどよく家にあるかも重要だった。改めて買うだけでも荷物は増えるので、そこで少し萎えてしまうから。


今日はパン粉などはすでに家にそろっているから、ハムさえ買えばすぐに作ることができる。さらには、いつもより料理に対するやる気もあった。

ハムカツをするときは4枚入り1パックを買ってそれをフライにすれば良いだけだけれど、今日は4枚入り1パックが4連になっているハムを奮発して買うことにする。

ただのハムカツ以外にもつくるつもりだからだ。


今日は2パック使ってフライをつくる。

まずは、ジャガイモが一つ残っているのでレンジでチンをする。

皮をむいて小さく切ったのを耐熱ボウルにいれる。

ジャガイモの皮はついたままのほうが良いのかもしれないけれど、熱々の皮をむくのも大変なので先に切ってしまっている。

火が通ったジャガイモはつぶして少しだけマヨネーズを混ぜる。

それを2枚のハムで挟めば一つできあがり。

余ったジャガイモにコーンを混ぜて小さな俵型にすれば二つ目。

チーズをハムで挟んで三つ目。

これで1パックを使う。

そして、もう1パック。本命のハムカツをつくるためにハムをパックの中から取り出して、4枚にばらしておく。

今日はこの4種類をフライにして揚げることにした。

卵と小麦粉、パン粉を用意する。

それぞれをボウルに入れて、小麦粉、卵、パン粉をつけていく。


順調に衣をつけていくけれど、最後にハムだけに衣をつけるところになって、ふと面倒くさいなと思ってしまった。

1パック4枚入りのハム。本当ならその1枚1枚に衣をつけるつもりだった。

でも、もうチーズ入りハムとジャガイモ入りハムとあまりジャガイモのコロッケに衣をつけている。

なんだかもうこの作業に飽きている。

ハムを2枚に重ねてしまおうか。

ペラペラのハムカツが食べたいと思っていたのに。

2枚重ねてもペラペラなことには変わらない。

2枚重ねることにした。

全部に衣をつければあとは揚げるだけ。


揚げ物をつくる日は揚げ物をつくることにやる気がすべてとられるのでほかの料理はつくれない。

味噌汁かスープぐらいつくりたかったなと思うけれど、難しかった。

自分の段取りが悪いからだとも思うけれど、気にしないことにする。


さぁ、ご飯の時間にしよう。


【今日のご飯】

白ご飯

ハムカツ(2枚重ね、チーズ、ジャガイモ)

ジャガイモコーンフライ

たらこ

明太子

ほうれん草のお浸し(昨日買った総菜のあまり)

昆布豆(パウチ総菜)


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