令嬢が婚約破棄されたってマジっすか!?

カエデのご飯



この前のクエストが終ってから三日後―


すっかり元気になった俺とニャミスとクー、それと一応アテネ…


はカエデとの待ち合わせでギルドへと来ていた。



―ー応って何ですか!命の恩人に向かって!



………。

 

俺はいつも通りアテネを邪険に扱ってから、ニャミスとクーに語りかける。



「そういえば、疲れていたのもあったが集合時間までは決めてなかったな…」



「まあまあ誠さん、ゆっくり待ちましょう!ごちそうは逃げませんし、


 空腹は最高のスパイスって言いますしね♪」



「…待ちきれない。」



「…まあ、そうだな、ゆっくり待つか。


 このままボーっと待っているのも何だし、


 良いクエストが無いか探してみるか。良さそうなのがあったら教えてくれ。」



「「うーい!」」



結局前回のクエストでも報酬は貰えなかったしな…


金欠のままでは冒険も恋愛もあったものではない…


掲示板のクエストに目を細める。



「なになに…、迷子の愛犬を探してほしい…報酬2万ジュリー、


 工事中のローグ街道沿いに発生するゴブリン退治とその警備…日給3万ジュリー


 ストレッタ屋敷の大掃除…全て完了で報酬8万ジュリー」



当たり前だが、ブロンズスティグマでできるクエストで大したものはない…


はあっとため息をつく、どこかに短時間で簡単で大金を稼げるクエストは転がっていない


ものか…。


そんなしょうもないことを考えると、


クーがトテトテと俺の方にやってきて、クエストの紙を手渡す。



「…どう?」



そのクエストを見た瞬間、俺の身体に衝撃が走った―


やはり神はいた!俺にはラブコメの神がついている!!



「これどううううううぅぅぅぁぁぁああああああああああああ!!」



周りにいた奴らが変人を見る目つきだったが、そんなことにはもう慣れっこだった。


俺はアテネに目くばせすると、んー――と悩んでいるようだったが、サムズアップが


返ってきた。よし、間違いない!



「クー!良く見つけてきた!お前は最高だ!!」



思わずギュウっと強く抱きしめる。



「…えへへ、クー偉い?」


 

「ああ!ずるい私も私も―――――――!」



俺は2人を抱きしめながらダンスをするようにその場でクルクル回る。



「…何かあんまり声を掛けたくないわね…。」



ん?と気になった方に目をやるとカエデがギルドに来ていた。



「おお!カエデ――!次のクエストが決まったぞ!


 お前もこっちに来いよ――!」



少し彼女は呆れている様子だったが、やれやれと言った感じで近づいてきた。



「わかったから!とりあえずそのクエストはキープして、外に出るわよ!」



カエデに襟袖を引っ張られながら俺たちはギルドを後にした。





「もう身体はとっくに万全って感じね。」



呆れた様子のままカエデが確認してくる。



「ああ、さっきのクエストでさらに俺の元気100倍だ!」



―アテネ、あれが異世界ラブの力だな!


 お前をずっとポンコツ女神と疑っていたよ!


 あんな素晴らしい力があるなら何でもっと早く使わなかったんだ?



―え?…いや…まあ…まあ、当然ですよ!私を何の神だと思ってるんですか!


 異世界ラブコメの神!神様仏様女アテネ様ですよ!


 えっへんと自慢気だ。しかし今回ばかりは礼を言わなければなるまい。



「それでどんなクエストだったの?」



カエデが聞いてくる。



「まあ、それはご馳走を食いながら話そうぜ!


 もう腹がペコペコなんだ!な!クー?」



「…お腹と背中がくっつきそう。」



「そうね。せっかくのごはんが冷めちゃったら美味しくないし、


 私の家すぐそこだから、ついてきて!」



と、カエデについて歩いていくこと約5分、



「…なんじゃこりゃ…。」



樹齢運千年は経っているであろう、どでかい大木をくりぬいて作られた


かなり独特なご自宅に到着した。



「…すごい家だな。」



「うん、かわいいでしょ?結構高かったんだけど思い切って買っちゃったの。」



「…かわいい。」



「すっごい可愛いお家ですね!私もこんな家に住みたいなー!」



かわいい…?やはり女のかわいいの感覚は理解不能だ。



「さあ、どうぞ。」



カエデに案内され中へと入っていく。



「「おっ邪魔しまっーす!」」



ニャミスとクーはウキウキだ、俺も2人に続く。


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異世界ラブコメは永久に不滅です!ーラブコメが廃れた世界で誰もが羨むラブラブパーティーを作ってのんびり過ごします! ゆぱ@NieR @894404

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