記憶を失くした雷

第1話

その日は嵐やった

がむしゃらに走ってた

校庭を何周も何周も

ひたすら走る

たどり着くことのない、ゴールのない校庭

今何周だっけ？

３周目辺りで高野先生が遠くから何か言うてたよな

走ってたから、よく聞こえへんかった

あーっ…しんどっ、

そう言えば由香が、話があるってゆってたな…もしかして告白とか

へへ…♪なわけないか…

にしても、

頑張って走ってる俺ってカッケー♪

しかも自分で、言うのはなんですが、かなりモテてたりするねん

顔？顔は韓流系とでもいいましょうかスタイルも、抜群やし

せやけど女の子と付き合ったこと一回もないねん

なんでかって？

そんなん決まってるやん

俺、幼なじみから友達の由香の事が大好きやねん

付き合うなら由香だけって決めてるねんヒュー♪

由香は俺の事、どう思ってるんやろ…

でも聞いてや

ふつーに、由香の買い物に付き合ったり飯食いにいったり悩みの相談のったりしてんねんけど

告白されてないし、友達以下友達未満かもな、ざーんねん

この前

由香のタイプ聞いてんけど

俺とは全く正反対やった

あーっあかんっ

頭んなか由香だらけ

はぁ～…しんどっ…

何周走ってんねんやろ

えっ…ちょっ…まっ…待て

ちがう……

何日も走り続けてるんや…

なんで走り続けてるんやろ…

周りを見渡すと

風もきついし雨も横なぐりで…

なんかおかしい…

走ってる間ずっと雨風やったのに

そう言えば

ずっと肌に雨も風も感じてへん

ええ？!なんでなんっ…

ふと思ったその時…

ゴロゴロゴロゴロ

ピカッ(空に稲妻が走った)

直後

ドッカーン

校庭に雷が落ちた

ハッ！!!

そうやった!!!ΣΣ

俺、もう何日も走ってる…

３周目あたりで高野先生が俺に何か伝えようとしてたあれは…

あれは…

そうやっ!!!

雷に撃たれた俺をみた直後、高野先生が俺の名前を叫び

その後ろで由香が大声で悲鳴を上げて…た…ん…や…

あかん…意識が遠退いていく…

プツッ……死ぬ…ん……いや…や

・・・・・・・

目を覚ますと俺は、病院のベッドの上やった

雷に酷く撃たれたようで、長い間生死を彷徨い、その間、校庭をひたすら走り続ける夢をみてたらしい

ただ毎日見舞に来てくれる、この子が誰なんか、俺の事を知ってるみたいやけど、記憶にないみたいだ

そして俺自身も誰で何者なのか…

母親「面会時間過ぎたし

また明日、由香ちゃんと一緒に来るからね」

それからベッドの上でリハビリなどして数日が経過した、

やっと手を動かせるまでになり

テレビ台に置いてあった手鏡に手を伸ばした

そこに映った俺の顔は………

ヴｧーーーーーーーーーッ!!!!!!!!

end