第15話
アルミホイルを巻かなければ。
今なら怪しいペンダントを勧められても買ってしまうだろう。
今は忘れよう、その方が幸せだ。
城へ到着、掲示板で依頼を物色する。
時間帯のせいか、定期依頼か長期募集の日雇いくらいしか残っていない。
定期討伐 北の廃鉱 レベル不問 戦闘力5以上 要スケルトン、ゾンビの討伐経験 光の日の12時
この定期討伐に参加するためにどこかでアンデッドと戦ってみようかな。
という事で受付で聞いてみよう。
2度対応してもらった受付の子は対応中だったので暇そうなおっさんがいる受付へ並ぶ。
凄い視線を感じる、コレは気配察知等の技能に目覚めるいい練習になるかもしれないな。無理だろうけど。
俺はカタリナちゃん一筋で行く。
アンデッドと戦いたいなら廃鉱から流れ出た個体と戦うのがオススメらしい。
街の北門からよく見えるから迷う事もないだろうと。
廃坑の中に入らなければ街周辺扱いで討伐もカウントされるらしい、不安なら倒した後冒険者カードが光ればカウントしてくれているとのこと。
日が落ちると強くなるとか、入り口辺りは松明や魔石ランプが沢山あるから暗くなればつけちゃっていい、廃校に入ってしまうと集団にエンカウントするかもしれないしカウントも怪しいからやめとけ、等々手厚いアドバイスを貰う。
やる気のなさそうな受付だと思ったがこの街のおっさんは新人冒険者に優しいようだ。
という事で早速向かおう。
北門から街を出て暫く歩くと遠くにそれらしきものが見える。かなり遠いが目を凝らせば人のようなものが見える気がする。5人、いや人間2にアンデッド3かな?
二度目の実戦、気合入れて行こう。
道中、身体能力を図るため全力ダッシュしようとするが断念。
特別な靴じゃないと耐えられそうにない、あと速過ぎて普通に怖い。徐々に慣れて行こう。
そんなことをしているとアンデッドが4になっている。どうやら苦戦しているようだ。それなりに急ぎ向かう、相変わらず自慢のミスリル(微)スタッフは邪魔である。
槍を持ったおっさんが3体を相手している、若い剣士がスケルトン相手に息も絶え絶えといった状況、この世界おっさん活躍しすぎじゃない?
「おーい!大丈夫か!」
「救援か!ありがたい。引き際を見誤ったようだ、助けてやってくれ」
自信満々で声を掛けたけど初対決なんだよね。まあ大丈夫か。
取り合えず、すっぽ抜けないようしっかり握り、スケルトンの胸の辺り目掛けて雑にフルスイング!木っ端みじんである。クソ雑魚じゃねえか。
「うお!マジかよ」
おっさんのマジかよ頂きました。
「槍使いのおっさんはどうだ?」
「俺はまだ20代だ!おっさんじゃねえ!クソ、スケルトン2体頼んでいいか!」
うわあ、よくあるやり取りやっちゃった。
さっきのスケルトンは武器だけだったが、コイツらはボロボロだが防具をつけている。結構個体差あるんだな。喋れるから余裕ありかと思ったが結構汗だく、限界が案外近そうだ。
という事でまたフルスイング、間合いだったのでゾンビとスケルトン同時だが気にせずバゴーンと。普段は邪魔だがリーチは正義、相手の間合い外から一気に行けるの最高だね。防具も関係なく木っ端みじん、ゾンビも真っ二つである。
必殺格好いい決めポーズ、ではなく雑な知識で一応残身、アンデッドだし真っ二つでも動くかもしれないからね。
無事消えていくアンデッド、何も残さないが自分の強さに大満足。俺凄いわ、超慢心。
「すまん、近いからゾンビの方やったぞ」
「お、おう、いや、助かったぜ。俺はもう大丈夫だ」
若い剣士を見るとまだ大の字で息を切らせていた。
兜を外した頭からは兎の耳が出ている。兎の獣人!なんだ男か。
少し悩みカバンからポーションを出し渡してやる、1本2000円。
いやいや、英雄がケチ臭い事考えちゃだめでしょ。
圧勝のはずの二度目の実戦が何故か残念な気分で終わっていくのである。
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