第8話

 南の森へ向かう。

 さっき見た時計が合っているなら昼過ぎだ、街も近いし大丈夫だろう。


 手ごろな魔物はネズミとウサギらしい。カエルや蛇は気をつけないと毒を持ってるという話だ、俺は大丈夫かな。多分。

 

 猿や狼もでるが、浅い場所に住む知能の有る魔物は戦闘力5もあるなら狙っては来ないらしい。ただ、怪我をしていたり、あまりに隙だらけだとその限りではないので注意しろと。

 

 奥に行くと熊やコウモリがいるらしい。コウモリは集団で出てくるらしく一掃できないと厄介。

 熊については、浅い場所ではまあ出会わないらしい、もし出会ってしまったら荷物を捨てて落ち着いて逃げると良いらしい、運が良ければ荷物で気が引けるとか。元の世界の熊と一緒じゃねえか。魔物の話だよな?

 特に森の最深部には4メートル以上の個体、カースドベアなんてのもいるらしいとか。最深部から出て来ないし、そのくらいになると、魔物化した個体は周囲の結構な範囲に魔力の圧を出すらしい。ボス前の確認メッセージかな?

 違和感があれば、即逃げて、門の兵にでも最優先で報告しろとのこと。4メートルってどの状態の話なんだろうか。


 街の周辺は常に討伐依頼が出ている状態らしい。

 水晶の大本のコアが魔物消滅時の魔力を感知してカードに自動で記憶してくれるとかなんとか、結構な距離いけるらしい。便利なもんだ。


 南の門へ着く、先ほど目についた兵はいない。

 やはり護衛メンバーだったのだろう。兵は2人いるが何か話し込んでいる。気にせず森に向かう。


 とりあえず街道が見えていれば大丈夫だろう。

 さっそくウサギがいた、が、逃げていく。魔物ではない普通のウサギなんだろうか?襲ってくる気配すらなかったので動物なんだろう。

 スルーして街道沿いを結構進んだが、見つからない。街の周辺、街道沿いはこんなもんなのかな?昼過ぎてるし今日は既に誰かが倒しているのかもしれないな。

 目が恐ろしくいいんだから、さっきの丘から平原でも見てみるか?などと考えていると森の中からなにかが聞こえた。

 荷を静かにおろし、ゆっくりと音の方へ向かう。


 木に隠れながら覗く、猪がなにかを食っている。さっきのウサギかもしれない。

 明らかに普通の動物と違う違和感があり魔物とわかる。というか、軽自動車より大きいぞ。無理じゃない?魔法か、せめて飛び道具でもないと挑む気が起きないんだが。

 食い終わったのか顔を上げた猪と目が合う。気づかれた。

 

 剣を抜く、両手で持ちたいが牙が見えるのでバックラーは捨てられない。

 こちらにゆっくり向かってくる、体当たりが怖いので木の陰からは出られない。

 木で体を守りながら移動して街に近づくか、もしもの場合に死体が見つからないように森の奥で戦うか。

 どちらかに決めて集中しよう、今は余計なことを考えている場合ではない。牙が刺さると苦しむだろうな、死体を食われたら蘇生ってどうなるんだろう。

 

 体が重い、緊張はしょうがないが肩から力を抜け。

 助走を取り小走りで向かってくる。あ、これ木もろとも行けるタイプの走り方だ。

 スピードに乗り近づいてきたところで木から全力で飛び出す、猪が木をなぎ倒す。

 俺も10メートルほど飛び体当たりで木を倒す。

 

 なんだこの体、馬鹿じゃねえの。

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