第7話

 店主に感謝し店を出る。

 予備の服も欲しいがなにが必要になるかわからない、これくらいは持っておきたい気もする。

 後はどうしようか。


 そういえば城が気になるな。見に行ってみるか。

 歩きつつ重要なことを思い出す。異世界に来たのにやっていないことがある。

 目を閉じ念じる。

 何も起こらない。

 意を決してつぶやく。


「ステータス……ステータスオープン……」

 むなしく あたりに ひびきわたった。


 

 城に到着、教会と比べるとあまりにも普通だ。そもそも城って敵から守るためのものなのにただの大きめの建物じゃないか。翻訳さんがおかしいのか?

 門番のような人物もいないので入ってみる。

 

 冒険者風の人が多い、カウンターがあり受付の人も居る。

 カウンターには水晶が置いてある、なんか占いの館にでも来た気分だ 

 数人が壁に掛かった掲示板のようなものを見ている。近寄って見てみると、建築手伝い、畑の手伝い、採集依頼、護衛依頼、討伐依頼、等々。

 冒険者ギルドじゃねえか、なんで王城なんだよ。いや、王が居るんだろうけど、まあ今はいい。


 討伐依頼とか早く受けてみたいが、流石に一度弱い魔物と戦ってからだな。装備も整ったし早く試したい、一応適当に詳細を見とくか。

 

 定期討伐 北の廃鉱 レベル不問 戦闘力5以上 要スケルトン、ゾンビの討伐経験 光の日の12時 先着順で集まり次第出発 


 レベル?戦闘力5?たったの5か……ゴミめ……なぜか謎の麦わら帽子のおっさんが頭に浮かんでくる。重要な記憶かもしれない、覚えておくか。

 

 受付へ向かう。

「すみません、初めてなんですが」


「はい、新規登録でよかったですか?」


「登録でお願いします」


「登録には20ルド必要になります。こちらの水晶に触れながら、この冒険者カードに魔力を流してください」

 魔力の流し方は分からないが、カードに集中してみる。


「はい、大丈夫です。アベルさんですね。再発行にも20ルド必要なので気をつけて下さいね」

 カードを見る、レベル1、戦闘力5。俺もゴミじゃねえか。どういう判別なんだろう。


「新人で戦闘力5ですか、凄いですね。戦闘の心得があるか、魔法持ちですね」

 常識の範囲内っぽい反応、ちょっと期待してたのに。まあ、両方無いから伸びしろたっぷりとでも期待しておこう。

 レベルの方は依頼達成で上がっていく、冒険者実績とでもいうものだった、うーん、期待外れ。一応レベル20ほどでそれなりらしい。


「今日は依頼を受けられますか?」


「いや、今は登録だけで大丈夫です」

 とりあえずは情報収集だろう。常に固定パーティーは厳しいだろうが、余裕がありそうなら集団での討伐は悪くないかもしれない。

 

「この辺りで新人が一人で戦える場所あったりしますか?」


「一人でですか?出来ればパーティーを組まれた方が良いと思いますが……そうですね、街の南の丘の辺りですね、森の奥に入らなければ安全だと思います」

 南の丘、もしかして俺の産まれた場所か?

 自称天使、実は結構考えてくれてたっぽい。いや、考えてたら服着せるか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る