第6話
服といっても鎧をつけるときはどういう物を着るんだろう。店員がいれば任せればいいんだろうか。
周りを歩きながら見てみるが、一般人は結構地味な服装である。
冒険者っぽいのは、いろいろだ。全身茶色の皮装備だったり、確かバシネットだったかをかぶった重装備の人もいる。中にオークでも入ってたりもするんだろうか。バンダナ巻いているホビットらしいのも見るが、あんな物で守れるのか?マジックアイテムの可能性もあるか。ビキニアーマーが成り立つ世界か!?
うめき声を上げながら肩を貸されてやっと歩けている冒険者もいた、もうすぐ教会だぞ、なんて気楽に声をかけられながら歩いていく。わりと瀕死に見えるんだが?教会の信頼感すげえな。
血を見ると、何とは言わんがキュッとなった。
精神面が弱い。早くパンツ履きたい。
商店街に到着。
考えてみたら、まずは服じゃなく鞄、バックパックかな?
しばらく歩くと、リュックが壁に掛けられている、雑貨屋のような大きな店が見つかったので入ってみる。
中には剣や槍も置いてあった。
試しにロングソードのようなものを持ってみる、思ったよりも重い、当たり前だけどリアルな重さ。ただ、この体なら楽に片手で振り回せそうでもある。
「手入れはしっかりしている、抜いて見てもいいぞ」
店主かな?貫禄のあるおっさんである。凄いガタイしているし、元冒険者かもしれない。
お言葉に甘えて抜いてみる、刃こぼれはしてそうにない、いい仕事しているな。知らんけど。
「よさそうだな、基本を学ぶには丁度いいかな」
「お、にいちゃん新人かい?駆け出しのヒューマンがそれくらいの剣を片手で持つと大抵ふらついちまうもんなんだがな!将来有望そうだ」
「そうか、ちなみにこの剣はいくらかな」
「中古だが程度は抜群だからな、500は欲しいが、新人だし400で良いぞ。どうだ、安いだろ!」
相場がまったくわからん、1ルドで100円くらいのはずだから4万か、安そうではある。
良い人っぽいし相談してみるか?同じ店で買えば安くしてくれるだろう。
出来るだけ早く服欲しいしな。
「相談なんだが、置いてあるなら防具やバックパック、雑貨もまとめて買うから安くならないか?探索に必要な物、まだなにもないんだ」
「お、そんな大量に買ってくれるのかい。いいぜ、予算はいくらだ」
「2500くらいかな、しばらくは遠出する気もないから野営や料理道具は大丈夫だ」
食事も睡眠もなくても大丈夫だしな。
「2500か……正直、倍は欲しい所だが、本当に最低限になっちまうと思うぞ」
服より命か?まあ、最悪死んでもいいし、いや、嫌だけどさ。
「もう少しだけなら出せるから、ケチったらダメなところは言ってくれ」
「分かった、ちょっと待ってろ」
おっさん、走る、俺に鎧を当てては、真剣に悩む。このおっさん優しい、良いおっさんだな。
軽く聞いてみると、元冒険者だったそうだ。
物が捨てられない、売るのも面倒になって、ため込むうちに引退したら雑貨屋を開こうと思ったらしい。
で、新人冒険者を助けてやりたい、と、照れながら話すおっさん。
頑張れおっさん。
というか、服着てないから鎧当てられるとポロリしそうだな。
と、いうことで鎧の下に着たり、冒険に向いた服や下着もあるのらしいで用意してもらう。
で、奥に行ってる間に物陰でこっそり着る、やっとノーパン卒業である。
おっさんの中古じゃねえよな?後悔する可能性も考えて聞かないでおこう。
大体揃ってきた、革装備に胸当て、金が貯まれば鎖帷子なんかもおすすめされた。
覚えておこう。
ロングソードにバックラー、バックパックは外しやすく、濡れてもある程度大丈夫なものを。
「革装備はうちでも手入れできるぜ、金属の手入れは必要なら信頼できるドワーフを紹介してやるぞ!」
水筒にコンパスなどは最低限の物を。時計もあったが高かったので諦め、ただ近場のアンデッドが稀に落とすらしい。それ生前の持ち物じゃない?
聞いてしまうと、物欲センサーで落ちなくなる気がする。
しかし、この英雄は耳がいい。
「4500……5000……いや、さすがにこれ以上は……いや、死んじまったら……いや、こういう奴らの為に俺は店を……」
奥でブツブツ言っているが丸聞こえである。
「よし!待たせたな!全部で2500だ!もう安くならないぜ!」
おっさん超いいやつ、せめてもの気持ちでポーションを100ルド分買っていく。
気休め程度にしか効かないが、その気休めが土壇場では生死を分けるとか。
なるほど、経験者は語る。
最後に、ブーツは蒸れるから最優先で良いものにしろと。
おっさん、ここまでで一番のマジな顔。
汚れはつかなかったが蒸れはどうなんだろう?頑張れ英雄の体。
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