第5話

 カタリナに魔法の財布を貰う。

 この世界には魔法の財布があり、重さをほぼ感じないうえにいくらでも入るらしい。そのかわり魔法の財布は死ぬと消えるらしい。神様に回収されちゃうんだとか、諸説ありらしい。

 俺だけ半額ですませてくれるとかないかな。

 まあ、硬貨だらけなんてかなり重いだろうし、戦うならば魔法の財布だろうな。

 

 魔法の財布も集中すれば、中身が分かるシステムだった。取り出すときも、集中。

 画がアホっぽい気もするが、この世界の俺はイケメンだしまあいいや。


 財布には30万程入っていた。

 気楽に渡してくるが、カタリナちゃん的には天使様に渡すようなもんなんだろうか。とてもじゃないが、初対面で全裸に仁王立ちの人にこんなことは出来ない。

 いや、金持ってて関わりたくなければ渡しそうだ。考えるのやめよう。

 

 本当に返せるんだろうか、いや、飯も休息もほとんどいらない体なら余裕か、そう考えると気楽だな。命がけなんだけどさ、最悪死んでも大丈夫らしいし、いや、死にたくはねえよな。

 

 だめだ、ネガティブがループしてきた。

 先の見えない借金スタートは精神的にキツイ。 


 カタリナちゃんが扉の向こうから何かを持ってきた。

 さっき言っていた、マジックアイテムだろうか。


「回収のマジックアイテムです、使うと魔法陣が刻印されるので、一番見えない位置にしましょう」

 一番見えない位置!?ここかい?ボロン、なんてことはなく足の裏。

 

 驚くことに、ここまで靴を履いていなったのに汚れがまったくなかった、便利だけど流石に気持ち悪い。  


「これで私の目の前に召喚出来ます。あと、これも身につけておいてください」

 指輪を渡される。


「対になる指輪を持ってます、これで生存確認ができます」


「了解、ありがとう。あと、回収ってそんな簡単に出来るの?」


「私の魔力量なら、そこまで負担ではないです。あ、生きている間は使えませんよ、魔法抵抗のある生物には簡単に抵抗されます」

 なんでも上手く行くわけではない。


「わかった、じゃあ服と武器防具を見てくるよ」


「はい。では、誰かに案内をお願いしましょうか?」


「いや、適当に散歩もしたいから一人でいいや。教会の位置が分からない、なんてことはないだろうし」


「わかりました、街の簡単な案内板が、教会前や街の入り口等、人の集まるところにはあります。では、私はアベルさんのことを教会の者に伝えておきますね」


「頼んだよ、じゃあ行ってきます」

 どう伝えるかは気になるが任せておこう。

 

 

 門番の所で別れ、案内板を探す。


 案内板を見ると商店街は近いらしい、文字が分からないなんてこともなかった。

 地図には王城と書かれた建物もある。書かれた方角を見るがコレという大きな建物はない。地図上でも、教会と比べても明らかに小さい。

 この世界の王はどういう扱いなんだろう。領主くらいか、市長や町長くらいの扱いなんだろうか。

 まあ、そのうち分かるだろう、今は王よりパンツだ。


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