第11話 田中、海底ダンジョンに着く
"なにあれ!?"
"モンスターか?"
"え、モンスターが外にいるのマズくない!?"
"いやでも普通のモンスターとなにか違うような……"
"深海魚がデカくなったようにも見える"
向かってくる魚は一見モンスターのようだが、違う。
おそらくあれは魔素の影響で凶暴化してしまった普通の魚だ。
魔素の影響で人間は覚醒者へと進化した。同じように他の動物も魔素の影響で異常に成長することがある。
といってもそのようなことは
だが強力な魔素が放たれるダンジョンの近くにいると、そういったことが起きることがある。おそらくこいつは海底ダンジョンの影響を受けてこうなったしまったんだろう。
「
堂島さんは拳を握ると、バタ足でその巨大魚に向かう。
魔素の影響を受けた動物は、覚醒者と違って長生きできない。放っておいても数日で死んでしまうだろう。
だがそれまでの間に被害が出ないとは限らない。ここで仕留めておく必要がある。
『ジャアアアアアア!!』
巨大魚は大きな口を開け、堂島さんに噛みつこうとしてくる。
堂島さんはそんな魚めがけて思い切り拳を打ち込む。
「
拳が命中すると同時に、水中に物凄い衝撃波が走る。それをまともに食らった魚の頭部はベコッとへこみ、遥か彼方に吹き飛んでいく。あの様子じゃ助からないだろう。
"ひっ"
"凄い勢いで吹っ飛んだw"
"この大臣、強すぎる"
"強いのは知ってたけど実際見ると凄いな笑"
"こんなの見たらもう他の議員ヤジ飛ばせないだろw"
"なんだかふんどしがかっこよく見えてきた(錯乱)"
だがそんなただの正拳突きも堂島さんが放てば兵器級の威力になる。なんでも堂島さんは覚醒者になる前に、熊と素手でやりあって勝ったことがあるという。
酒の席で言っていた話なので嘘か本当か分からないが、この人を見ているとあながち嘘とも言えなくなってくる。
「
「
「
俺はカメラに向かってポーズを決める堂島さんを置いて、更に潜る。
そうしてしばらく潜っていると、海底にできた大きな
"でっか"
"なんか怖くなってきた"
"深海の画像ってなんか怖いよな"
"ドローンのライトで多少見えるけど、本当は真っ暗だしな"
"こんなとこ普通の覚醒者じゃ来れんわな"
俺は亀裂の中に潜っていく。
ダンジョンの詳細な場所は知らないが、亀裂の底の方から強い魔素を感じる。おそらくそっちに入口があるのだろうと推測する。
そうして潜ること数分。ついに俺は今回のダンジョンの入口を発見する。
思ったより早く着いたな。息もまだ全然続く、これなら帰りもそれほど苦労しなさそうだ。
「
後ろから堂島さんと凛がちゃんと着いてくるのを確認した後、俺はダンジョンの中に入る。
しばらくは水が満ちた空間だったが、少し泳ぐと空気がある空間にたどり着く。ありがたいことに中はちゃんと空気があるみたいだ。
「……ぷは。ふう、久々にたくさん泳いだな」
陸地にたどり着いた俺は、ビジネスバッグの中からタオルを取り出し、体を拭く。そしてスーツを取り出し袖を通す。
"シャチケンの水着姿も見納めか(血涙)"
"水着回また来ないかなあ……"
"相変わらず強火なシャチケンファンが多いな"
"スクショ1000000000000回撮った"
"ダンジョン、お前浸水しろ"
"どれだけ水着見たいんだよw"
陸地に着いたのでコメントを表示すると、なぜか俺の水着姿を惜しむコメントが寄せられていた。なんで俺の水着姿を見たがるんだ……意味がわからない。凛の水着姿なら分かるが、俺のを見てもしょうがないだろう。
「くそう! 負けた!」
「ふう……やっと着きました」
コメントを確認していると堂島さんもやって来て、その少し後から凛も到着する。
よし、これで全員揃った。早くこのダンジョンを攻略するとしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます