039 「बुझियो」
「……ねぇ、ナオ?」
「なあに?」
「そのラッシー、危ないクスリとか入ってない?」
「何言ってるのリズ、そんなわけないでしょ。こんなに――はぁ……、美味しいんだよ?」
ちょっと不安が残るな……。
まあいいや。私はマンゴーラッシーの美味しさを力説しかけたナオをつんつんとつついて、アケノを指差す。
「なんだよぅ、せっかくこの美味しさをリズにも――――うわぁ……」
わかりやすく引くナオ。
目の前で、恍惚の表情を浮かべてぼーっとしているアケノ。
(……皇さんのには入ってるかも)
(……だよね)
二人で顔を見合わせてから、私はゆさゆさとアケノを揺らす。
「アケノ。――――アケノ!」
「――うにゃ」
「ちょっとどうしたの、気持ち悪いの?」
「――いや。なんだかとっても気持ちいいんじゃ!」
「絶対キマってるでしょこれ」
「すいませーん! 店員さーん!」
「えっナオ直接聞くの」
――サガル、オ客サン呼ンデル!
――
――ガチャァン!
――悪ィ、シンク入レトイテ!
明らかに何か割れた音がしたんだけど。
シンクに入れちゃ駄目では……?
「ハァイ、ドウシタ!」
「あの……解毒ラッシーって普通のと何が違うんですか?」
「………………」
「あのー……?」
「………………」
静かに笑顔を浮かべる店員さん。
怖い。
ほんとに怖い。
私とナオは顔を見合わせる。冷や汗が垂れてきた……。
はっ! そういえば当のアケノは――――。
「辛いッ! 甘いッ! 辛いッ! 甘いッ!」
……カレーとラッシーを交互に摂取してトリップ中。
「あ、危ないもの入れてませんよね?! あれ! どう見てもおかしいですよ!」
私はビシィとアケノを指差す。
「……ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」
今度は小刻みに震えだしている!
だけど店員さんはニコニコ黙ったまま。
「ちょっといい加減に――」
「――大丈夫心配ナイ、変なモノ入レテナイヨ」
店員さんが振り返る。
入ってすぐ対応してくれた人が今まさに、キッチンから出てきたところだった。
「店長ゥ! レシピは企業秘密ノハズジャ……」
店員さんをサッと手で制す店長さん。
もちろんボリウッドスマイルだ。
「――解毒ラッシーはネ、他のラッシーヨリタクサン乳酸菌が入ッテルヨ。辛サを抑サエテ、リラックスする効果ガアル。ダカラアノ子は……」
ちら、とアケノを見て。
「――最高にリラックスシテル状態ダネ!」
「どう見ても最高にハイになってるでしょ!?」
何を入れてるの、白状してっ!
私が問い詰めると、ヤレヤレ……と店長さんは笑って言った。
「
「……なんだ、ヤクル――ん? なんかイントネーション違くなかった?」
「アト自家製の薬ルト15000も入レル」
「自家製はもうヤクルトじゃないのよ」
「ドチラにせよアノ子はヘイキ。チョット酔ってるダケ、ソノウチ戻ルヨ!」
「皇さん下戸なんだねぇ」
「ナオ、普通は乳酸菌で酔わないから!」
もーっ!
まともな人はいないの!?
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