第9話エッチはしない

「よし、先輩、お酒飲みましょう」

若い女の子は彼に言った。

「僕はもう付き合えない。お茶でいいかな?」

「もちろん、いいですよ」

彼は氷とグラスを準備して、彼女はレモン酎ハイ、彼は緑茶で乾杯した。

時間は深夜の1時過ぎ。

「君は、いつからあの厭な病院へ通っているのかい?」

と、彼はスナック菓子を口に運びながらそう尋ねると、

「わたしは大学生の頃からです。5年になります。先輩は?」

「僕は26の時だから、18年だよ」

「へぇ~長いですね」

「早く健常者の時の様に、薬なしでぐっすり眠りたいよ」

彼女は彼の話しを聴きながら、

「先輩」

「ん、どうした?」

彼女は目を閉じている。ま、まさかっ……。キスするサインなのか?

彼も目を閉じて、近づくと、

「キャー」

「ど、どうした?」

「ちょっと、目を閉じていたら目の前に、スッゴいブサイクな男がいたから」

「ふんっ、僕はデブの単なる中年でエロい最低な男だよ!」

彼女は、だんだん酒が回り、火照った体を冷やすために、服を脱ぎ始めた。

彼は慌てて、エアコンをつけたのだが、遅かった。

彼女は上半身、裸になった。美しい釣鐘型のおっぱいだった。

だが、重大な事に彼の下半身は反応しなかった。


「先輩、イヤらしい目で何ニヤケてるんですか!」

彼女がキレると、

「ば、馬鹿者!男性の前で裸になる方が変態だよ!」


ボタッボタッ


「せ、先輩鼻血!」

「えっ?」

彼は鼻血を大量に流した。ティッシュペーパーを鼻に突っ込み、氷で眉間と鼻の間を冷やした。

「もう、先輩ったら変態ですね」

「うるせぇ~、メンヘラ娘がっ!」

彼女は無視して、2本目を飲み始めた。そして、タバコに火をつけた。彼の部屋には灰皿が点在している。

リビング、トイレ、キッチン。

完璧なニコチン中毒者である。

「先輩、明日はお昼近くまで寝ていて下さい。わたし、家から下着と服を取りに一旦帰宅しますんで。土曜日、デートしましょ?」

「で、デート。……い、いいよ」

「はいっ、き~まり。わたしがソファーに寝るんで、鼻血止まったら先輩が先に寝て下さい。わたし、もう少し飲むんで」

「わ、分かった」

寝る前にもう一度、女の子のおっぱいをガン見した。

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