第4話 手を伸ばして

そうやって、何時間が時間がすぎる。

目をゆっくりと開いて風魔法で空を飛ぶ。

勢いよくスピードをだして、屋根裏の窓から入る。

誰も、私が魔法を使えることは知らない。

別に隠してるわけではない。

ただ、使う必要があまりないだけ。

そう、この世界には妖精も精霊も存在する。

「…今日はパン、もらえるかな」

小さくつぶやくとお腹が鳴る。

3日間、何も食べてない。

もう、寝よう。

私は、それから次の朝まで寝ていた。

元々、私は体が弱い。

だから、歩くのも苦手。

まぁ、魔法で補給してるからいいけれど。

「…外に行こうかな」

私は、昨日と同じ方法であの場所へと行く。

昨日は、物語。今日は歌にしようかな。

「♪~♬」

ここなら、誰にも聴こえない。

ここなら、声を出してもい。

ここなら、顔を隠すこともない。

長い前髪をピンでわける。

長い後ろ髪はそのままで。

大好きな木のくぼみの中で。

暖かい日差しを浴びて。

いつもは、全身真っ黒だけど、今日は白。

どこまでも響く声。

風の音しか聞こえない。

「素敵な声だね」

誰かの声で目を開く。

そこにいたのは、昨日私に話しかけてきた人。

うつむいて、私は唇に歯をたてる。

この風の音は彼の魔法だったみたい。

「ほら!!」

目線だけ上にあげると彼が私に手を伸ばしていた。

「行くよ!!」

気づいたら彼と手を繋いで空を飛んでいた。

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