第5話

右を見ても木。左を見ても木。

後ろを見ると、川や家々。

下を見ると、一部だけ草が生えていない道が連なっており、その横は草が。

上を見ると、雲ひとつない青空。

「海兄ちゃん!ハイキング……楽しいね!」

心から思った。

息も大して切れずに30分以上歩けたのなんて何年振りだろう……。

いや、初めてかもしれない。

少し手前を歩いている海が振り向き様に屈託のない笑顔で言う。

「そうだな!よーし、あっちまで競争だ!」

そういって、少し開けた広場のようなところを指差した。

「あー!待ってよー!」

いくら体が軽いといっても男性に比べたら元々体力も少ない身体だ。

ついていけるわけもないのに、自然と笑みが溢れてしまう。


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